
6月29日~7月1日までの3日間、中国・上海で「MWC上海 2016」が開催された。「MWC上海」は、スペイン・バルセロナで毎年開催されている世界最大規模のモバイル展示会、「Mobile World Congress」のアジア版ともいえる姉妹イベントだ。前身の「モバイル・アジア・エキスポ」から数えて今年で5回目の開催となるが、例年参加している人によれば、会場の大きさや来場者数などの規模が、年々目に見えて大きくなっているという。
主催するGSMAの発表によれば、今年同イベントにブースを出展した企業は約550社。中心となるのはやはり中国系の企業だが、国外からの参加企業も64%を占めているという。3日間の来場者数は、昨年比33%増の約5万3000人に到達。ちなみに今年の本家「MWC2016」の来場者数は、10万人強だった。クローズドな業界向けのイベントである「MWC2016」と、一般来場者も多い「MWC 上海」を単純に比較するのは難しいが、すでに本家の半数を超える規模にまで成長していることになる。
筆者はここ数年、「CES」や「MWC」、「IFA」といった国際的なIT・家電展示会を取材してきたが、そうした場でいつも実感するのは、今や世界中のIT・家電メーカーの多くが、中国を強く意識しながらビジネスを展開しているということ。それを裏付けるように、最近ではIT・家電系の巨大展示会が相次いで中国で関連イベントを開催するようになってきた。「MWC上海」だけではない。昨年から上海で「CES ASIA」が開催されるようになったのに続き、今年4月には「IFA」の中国版「CE China」も深圳で初開催されている。経済成長の鈍化が言われてもなお、世界一の人口規模を誇る巨大なマーケットはメーカーにとって魅力的であり、またその巨大市場を背景に急成長する中国企業には、こうしたイベントを呼び寄せるだけの勢いやパワーがあるということだろう。
実際に今回の「MWC上海」の展示会場でも、様々な場所で中国のモバイル市場や中国メーカー、キャリアの勢いとパワーを感じることができた。ここからは具体的な展示内容を紹介しながら、本イベントから見えたモバイルトレンドを紐解いていきたい。