■ソース入の発売が起こした購買層の変化
ラインアップについては、2013年1月に〈ラズベリーソース付〉〈プレーン〉を追加。以降、期間限定販売品を投入してきたが、全国発売になった2015年に、容器にフルーツソースを入れたソース入を売り出し、大きく拡大する。
ソース入を売り出した背景にあったのは、売上の伸び悩み。その理由を調べたところ、「ソースを入れるのが面倒くさい」「ソース付が他で売っていないので、どういうものかわからず買わない」といった声が挙がった。そこで、簡便で手ごろ感があり、一般的な形態に近いソース入をつくることした。
また、ソース入を発売したことで、『パルテノ』の購買層が変化した。ソース付はご褒美としてリッチなものを求めている人、ソース入は簡便なものを求める人、そして〈プレーン〉は料理をつくる人に買われる傾向が強くなり、ユーザーの棲み分けができているという。
★★★取材からわかった『濃密ギリシャヨーグルト パルテノ』のヒット要因3★★★
1.美味しさに特化
ギリシャヨーグルトを、ただ独自技術でつくっただけでなく、美味しさにこだわって開発。濃密な食感、滑らかな舌触り、クリーミーな味わいを実現した。
2.時間をかけた育成
日本初のギリシャヨーグルトのため、まずは首都圏で、情報感度の高い人たちの認知度拡大を目指した。認知度が拡大するにつれて、ラインアップや販売エリアを拡大。時間をかけてユーザーをつくり、商品と市場を育成した。
3.カニバリを起こしていない
簡便なソース入と、ご褒美向けのリッチなソース付。同じシリーズの商品でも性格が異なるため、カニバリを起こすことなくユーザーを拡大できている。
『パルテノ』は2016年から本格的に高タンパクをアピールし、機能性であることも訴求している。機能性ヨーグルトがトレンドになっているヨーグルト市場において、嗜好と機能の2つを満たしているこのヨーグルトは、極めて個性的で、独自の地位を確立しているといってもいいだろう。
文/大沢裕司
ものづくりに関することを中心に、割と幅広く色々なことを取材するライター。主な取材テーマは商品開発、技術開発、生産、工場、など。当連載のネタ探しに日々奔走中。
■連載/ヒット商品開発秘話
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