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2016.03.21

今年のベルリン国際映画祭で見つけた2つの注目映画

■連載/Londonトレンド通信

この2月の第66回ベルリン国際映画祭では、『Fire at Sea』の金熊賞獲得をはじめ、良いと思った作品がもれなく賞に輝いた。映画鑑識眼自慢ではなく、審査員ならずとも、またどこの国から来た記者であっても良いという映画はそれほど違わない。

だが、映画祭に通っていると周りの反応が自分の感想とかけ離れることが時々ある。今回の映画祭では、そういう映画が2本あった。

1本はコンペティション部門のヴァンサン・ペレーズ監督『Alone in Berlin』。オーソドックスな作りで新味が無く、賞をとることはなさそうだと頭では考えつつ、涙して観た。映画の出来、不出来と泣ける、笑えるとかは意外に関係ない。『Alone in Berlin』も話の大筋には胸を打たれた。俳優陣も申し分ない。プレス試写だったが、その終了後すかさずブーイングが!いや、そこまで悪くないでしょ?

Alone in Berlin
ブレンダン・グリーソン、エマ・トンプソン『Alone in Berlin』から

原作はハンペル夫妻の実話を基にしたハンス・ファラダの小説『Jeder stirbt für sich allein』(翻訳本は『ベルリンに一人死す』みすず書房)。ハンペル夫妻は、家族の戦死をきっかけに戦争反対、ヒトラー批判を書き綴ったポストカードをこっそり公共の場に置いて回った。ささやかな抵抗だが、ゲシュタポが目を光らせていた当時には命を賭した行為だ。

1947年に原作がドイツで出版された際は、大きなインパクトを持って迎えられたという。終戦からまだ2年に満たなかったことを思えば、無理もない。今となってはヒトラーのやったことを正しいと言う人はまずいないだろうが、そのヒトラーに従っていた/従わされていたドイツの人たちは、ヒトラーを批判したことで断罪された夫妻の話をどんな思いで読んだことだろう。

その複雑な思いに『Alone in Berlin』が届いていないことへのブーイングであれば、わかる気はする。それでも、ハンペル夫妻を知らない人には大筋を飲み込みやすく伝えてくれる悪くない映画と思う。

語り口の良し悪しはあるにしろ、ハンペル夫妻の話そのものが多くの人の心を揺さぶることは疑いようもない。出版直前にファラダは亡くなっていたが、本は1948年のロシア語版を皮切りに各国語に翻訳された。東西ドイツ両方でそれぞれテレビ映画化、劇場用映画も西ドイツで製作されたものが海外でも上映されたほか、チェコでもテレビドラマになった。ハンペル夫妻が住んだ場所には今もプレートが掲げられている。

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