
夫の家事参加は、もはや普通の光景になってきた。これまでは平日は帰宅時間が遅く、どうしても土日だけになってしまうものだが、近年は、平日の夫家事率も高まっているという。女性活躍推進で、ますます女性の家事負担を減らすような動きがある中、住宅メーカーも家事をいかにスムーズ、かつ、楽にするかという視点での家づくりを行なっている。
一昔前は、家事が楽になる機能的な家づくりが目指されてきたが、今は様相が変わってきた。そんな家づくりのトレンドや、夫の家事参加状況などを探り、夫婦や家族の在り方を考えてみたい。
■家事を楽にするには“協力”が一番?
住宅メーカーのパナホームには、「家事楽スタイル」という商品がある。家づくりの中でも、家事にまつわるニーズや、ライフスタイルの変化を受け、家事がしやすくなるよう、間取り・動線・設備などの研究に取り組んできた成果が現れているという。この家事を楽にする一つの暮らし提案には、3つのコンセプトがある。
そのコンセプトとは「家族の協力」「効率を考えた動線」「適材適所の収納」だ。1つめの「家族の協力」の下、具体的に設計されたものとしては、「姿の見える作り」「一か所で作業できる」「作業スペースを確保する」ことがある。
つまり、従来のように、妻や母親だけが「家事を専任する」スタイルから脱却し、「みんなで家事をする環境」にするというのが、この家事楽スタイルの1番目のコンセプトになっており、今の時代を象徴するものになっている。
例えば、料理をしている人の姿が見えるよう、オープンキッチンにすることで、夫や子どもたちの家事協力を自然と促すというのだ。このように、家づくりも「家族の家事参加」をねらいとした提案がされている現状がある。
■男性の家事・育児参加はどれくらい?最近の家事協力事情
ところで、近年、男性の家事・育児参加はどれくらいなのだろうか? 日経DUALが総務省の「社会生活基本調査」をもとに算出した「共働き夫婦の平均家事・育児時間」では、子どもの年齢別に夫と妻の家事・育児時間がわかり、夫の分担率も明らかになっている。2011年のデータではあるが、現状を探る手掛かりになりそうだ。
平日・土日を含めた週全体としては、0歳の子どもを持つ夫の分担率は14.9%、1~2歳では16.5%となった。平日はやや減るものの、土日は1~2歳の子持ちで最大26.1%にも上っており、分担の割合としては、多くて4分の1程度。意外と少ない印象だ。
実際、妻や母親たちは、夫の家事協力についてどう感じているのだろうか? おうちくらぶが210名のミセスに対し、2012年に行った「家事と家族の協力」についてのアンケート調査によれば、家族の家事協力に満足している割合は46%。54%が満足していないことが判明した。妻としては、夫には「もうちょっとやってほしい」といったところが現実のようだ。