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2015.07.21

小説『火花』が芥川賞受賞!又吉直樹が語る「芸人の経済学」とは?

◎家賃2万5000円の風呂なしアパートに住み続けた理由とは?

 例えば、東京での下積み時代のこと。又吉は、吉本興業の養成所に通っていた時を含めて、生活が維持できる程度の必要最低限のアルバイトしか、やってこなかったという。それは、実家からの仕送りが多かったとか、貯金があったからというのではない。お金は全然なかった。しかし、あえてバイトをしない、という選択をしたのだ。

「同期のヤツとかは、大体週3とか週4でバイトして、月15万円くらい稼いで、風呂付きのアパートに住んだりしてました。同世代の大学生と同じような生活をしようとしてたんです。それを見て、すごい違和感があったんですよ。“何しに東京に来てるんだ?”って」

 その時の又吉は、仕方なく月に5〜6回バイトに行って、風呂なし・トイレ共同の家賃2万5000円のアパートで暮らしていたという。極力バイトをしないようにして、同期たちがバイトに割いている時間を、お笑いのネタを書くことに費やしていたのだ。

「お笑い芸人として売れることを目標とするなら、お笑いに費やす時間をまず確保しなければダメですよね。バイトを週1回にすれば、週の半分バイトしているヤツが5年間かけてお笑いに費やす時間を、2年半で確保することができるはず。もし、そのふたりの才能が同程度なら、売れる可能性が2倍早くなると考えていました」

 このような、限られた資源(この場合は時間)の投資すべき順序を考えることは、さまざまな国の所得格差を経済モデルから分析する開発経済学の分野でも重要視されている。

「そのときの僕の考え方について、番組に出演している先生からは正しいと言われて、ああやっぱりな、と思いました。同時に、自分の中にも経済の合理性があったんだなという驚きも。でも、なかなかこの考え方は、世間では通用しないですよね。普通、きちんとバイトをしながら、夢を追っているヤツのほうが偉いと思われるじゃないですか。僕の場合は、結構、周りにも迷惑をかけてましたから(笑)」

 知り合った人には、お米を送ってくれるように頼んだり、本当に空腹が辛くなった時は、お笑いライブのチケットを売っていて、興味を持ってくれた人に、「今日はどちらでご飯を食べるんですか? 僕もお邪魔していいですか?」などと聞いたことがあったという。

「芸人仲間からも、アイツは人間としてヤバい、とか言われてました(笑)。ただ、それができたのは、自分のやっていることは間違っていないという確信があったから。あと、こういう話は、お笑いのライブでも話せるので、そんなに悲惨な気持ちではなかったんですよね。空腹は辛かったですけど(笑)」

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