J.Laverack Aston Martin .1Rについて
.1Rは、単に眺めて楽しむバイクではなく、パフォーマンスとライディング体験を軸に、意図的にデザインされた。たとえば、統合ブレーキは単に人の目を引きつけるだけでなく、通常の2本に対して4本のピストンを使用したことにより、レバーを操作する際の進度と感触が向上している。さらにフレームも、フォルムと機能の均等なブレンドを演出している。生き生きとした乗り心地で知られるTi 6Al/4Vチタンとカーボンファイバーを組み合わせて必要な剛性を確保することで、.1Rは、フランダースのでこぼこの石畳からピレネー山脈の急登坂まで、どこでも楽しめる反応性を備える。
ハート・オブ・レーシングのチーム代表、イアン・ジェームス氏は、以下のように語っている。
.1Rが長時間の楽しい乗車を目指してデザインされたことは、オーナーに合わせてバイクを特別にカスタマイズできる方法からも見て取れる。バイク界ではカスタム・フィッティングは新しいものではなく、メイド・トゥ・メジャーであることがほとんど。一方、J.Laverack Aston Martin .1Rは完全にビスポークとなる。この哲学を象徴するように、シュモクザメ(Sphyrna)にちなんで名付けられたSphyrステムでは、オーナーごとの測定値に合わせてチタンから3Dプリントされ、リーチと幅を絶対的な精度で全部指定できる。
通常クランク長は通常2.5mm刻みでしか指定できないが、.1Rのオーナーはクランク長をミリメートル単位まで指定できる。これは、カーボン・クランク・アームのビスポーク3Dプリント・チタン・チップのおかげで実現。サドル高は、交換可能な美しいビスポーク・チタン・カラーを使用して調整。バイクには、美しいハンドメイドの木製ツールケースの中に、カラーに並んで工具セットも付属する。
「バッジ・エンジニアリング」という言葉は、これまでコラボレーション・バイク・プロジェクトに関連して使われていたが、J.Laverack Aston Martin .1Rは、この表現にやや異なる意味を持たせている。ラッカー塗装されたバイクの金属バッジは、実に優雅な技術によって作られており、その厚さはわずか40ミクロンであり、レースウィングと呼ばれたアストンマーティンValkyrieのバッジと同じ工程を採用している。
このハイパーカーのホイール・デザインは、バイクのブレーキのチタン製ピストン・キャップのミニチュアに見て取ることができ、.1Rのスレッド・ボトム・ブラケットの美しく加工されたカップを見てみると、Valkyrieのセントラル・ホイール・ナットと類似していることに気付く。
その他のディテールとして、DB12のサイドストレーキを巧みに再現しつつ、ブレーキホースの取り回しの余地を十分に残した貫通ステムがある。チタン製スルーアクスルは肉厚わずか0.7mmで、芸術品の域に達している。そして、他のバイクとは異なり、アクスルの端部がノンドライブ・サイドに隠されている。
オーナーは、UCIワールドツアーでプロが使用した3種類の12速グループセットのいずれかを選択することができる。シマノDura-Ace Di2、カンパニョーロ スーパーレコード・ワイヤレス、SRAM RED eTap AXSから好みに応じて、J.Laverack Aston Martin .1Rを組み立てることができる。.1Rのビスポーク・チェーンリングはアルミから機械加工され、オーナーがサイズを指定することが可能。
AERA Components Æ|55ホイールも.1R専用であり、深さ55mm、内幅22mmのカーボン製チューブレス・リムが搭載される。.1R専用設計のハブと同様、ホイールのブラック・カラースキームから続く28本のSapim CX-Rayスポークで組まれ、高強度の航空宇宙等級アルミから完璧に機械加工され、カスタムのブルベブラック・カラーで仕上げられる。コンチネンタル社は、特製カーボンリムに最適な幅であり、スピードと快適性を完璧に調和させるGP5000S TRタイヤの30mm幅スペシャル・ステルスブラック・バージョンを製作した。
英国企業ブルックス社のC13サドルは.1Rのために特注されたもので、オーナーの好みでレザーまたはアルカンタラでトリム加工され、シングル・チタン・リベットで仕上げられる。ハンドルバー・グリップには、すべてのアストンマーティン・カラーが用意され、同じマテリアルを選択できる。
革新と伝統を両立させたことで、.1Rの卓越した美しさと精密な機能性が際立った。英国でハンドクラフトされ、各々の分野で最前線に立つ2つの企業による最高のコラボレーションが実現したと言えるだろう。
アストンマーティン創設者のライオネル・マーティン氏とロバート・バムフォード氏がロンドンの歴史あるバスロードクラブで競技用バイクを通じて知り合ったことから、彼らが世界最高のビスポーク仕様をもとに細部まで入念に設計した最先端のバイクである.1Rに興奮したであろうことは間違いない。
関連情報:https://astonmartin.jlaverack.co.uk/
構成/土屋嘉久