佐故龍平 《Melting pot》/《Salad bowl》
さまざまな金属を重ね合わせて接合、打ち延べ、模様を作っていく「木目金(もくめがね)」という技法を用いることで、「多種多様な民族がひとつの場所で溶け合い、新しい文化や社会を形成していく様子」を表現した、佐故龍平氏の作品。《Melting pot》(写真、左)は、銀、銅、赤銅に加え、配合の異なる4種の四分一(銀と銅の合金)を使った25層の板から形成されている。《Salad bowl》(写真、右)は、両面に文様を描くため、36枚の銀、銅、赤銅、黒味銅と配合の異なる4種の四分一の板を組み合わせて製作したという。
「どの層にどういう色が出るかを意図して金属を重ねています。模様は、平面の段階で出し、そこから叩いて形を作っていきます。偶然的な部分もあり、独特な模様が出来上がるんです。鍛金というプロセスならではの模様をぜひ観ていただきたいですね」(佐故龍平氏)。
野口寛斉 Kansai Noguchi《HI・FU・MI・YO》 他
世界最大の真珠輸出国である日本。しかし、養殖された真珠の一部は商品にならず廃棄されているという。野口寛斉氏は今回、廃棄された真珠を原料にした絵画《HI・FU・MI・YO》、陶芸作品《JOMON Pearl prototype 01》などの作品の制作に挑んだ。
「土を挽いて作っている作品なので、テクスチャーや古さといった部分を観てほしいです。陶器の形は花瓶ですが、「一つの彫刻」として僕は作っているので、下の部分の細さや、上の部分の緊張感といった部分に注目して観ていただきたいですね」(野口寛斉氏)。
満田晴穂 《自在源五郎》他
江戸時代、武具類の需要減少に伴い、民具などを鉄で製造する甲冑師が生まれた。そうした技術を用いた金属工芸の一分野である「自在置物(じざいおきもの)」の技法を用い、満田氏は各関節がゲンゴロウと同じように可動する作品を制作した。この作品に使われている金は、すべて電子機器からリサイクルされた「都市鉱山」由来のものを使用している。
「生物ごとの進化の歴史を制作過程で知ることができるのが面白いところです。『どういうふうに動くんだろう』と想像しながら観ていただければと思います。今のところ一番小さい作品は2cm程度なんですが、今後はさらに小さいものにも挑戦していきたいですね」(満田晴穂氏)。