2023年10月20日(金)から22日(日)の3日間、六本木ヒルズ「Hills Cafe / Space」で、「工芸家」と呼ばれるアーティストの作品を展示する“KOGEI Next” Exhibition 2023が開催された。
“KOGEI Next”として3回目を迎えた今回は、8名のアーティストの新作を展示。ガラス越しではなく間近に作品を鑑賞でき、工芸という分野ならではの作品における緻密さや立体感、空気感を肌で感じられる圧巻の内容だった。本稿では、“KOGEI Next” Exhibition 2023の展示作品とトークショーでの各作家のコメントの一部を紹介する。
KOGEI Nextとは
京都で美術商を営むKANEGAEと、IoTクリエ―ターの育成・スタートアップ事業を支援する株式会社クロステック・マネジメントが主催する「KOGEI Next」は、工芸の次のすがたを実現させる運動。アート作品にも自然環境の保全が必要との考えから、作品制作における〝素材〟の見直しを進めている。
「超絶技巧作家 Nightトークショー」
10月20日(金)には、DIME編集長の石﨑が「超絶技巧作家 Nightトークショー」に登壇。会場に訪れた来場者の視点で、アーティストに質問を投げかけ、それぞれの作品に込められた思い、鑑賞時に注目してほしいポイントなどが語られた。
本郷真也 Shinya Hongo《Visible02 –History–》 ※ Unfinished
9000年前から、人間と暮らす道を選んだという「猫」。本郷真也氏はCTスキャンの性質を利用し、鉄、銀、14金、18金と異なる金属を用い、彫刻内部に猫の歩んできた歴史を素材毎のレイヤーに分けて表現した。「鍛金(金槌で叩くことで形を変えていく金属工芸の技法)」によって、形成された猫の彫刻を、完成後CTスキャンで撮影。本来、肉眼では見えない彫刻内部にも〝表現の場〟を見出した。
「作品自体はまだ完成していないのですが、完成したら鑑賞者の方々にもiPadで内部の状態を自由にご覧頂くことが出来ると思います。今の段階では、まず猫の外装が一枚の鉄板から鍛金で作られているという部分に注目して観てほしいですね」(本郷真也氏)。