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【ヒット商品開発秘話】累計販売数1000万本を突破する日清製粉ウェルナ「Smart Table ミニチュロス」

2023.11.08PR

課題を乗り越えて実現したフィリング入り

 中にフィリングを入れることは簡単なことに思えるが、菊池氏によれば実現のハードルが高く他社にはなかなかマネできないことだという。

 実現する上で最大の課題になったのは、フィリングを入れた状態で特徴であるサクッとした食感を実現すること。実現するために一から生地の配合を見直すことになった。菊池氏は次のように話す。

「工場で揚げるためフィリングに熱がかかるので、これを踏まえて生地の原材料を配合しないと、フィリングが溶けてなくなってしまいます。フィリングの対策も必要ですが、生地の配合も見直さないと焼き上がったときにフィリングが残りません」

 最初に業務用の生地でつくってみたところ、目指したものとはまったく異なる食感のものができてしまったほど。納得のいくものができるまでに半年ほどかかった。

 フィリングはまず、カスタードソースとチョコソースの2つとすることにした。定番の人気のフレーバーだが、子どもに人気のあるフレーバーを試作してみたり、消費者調査を行なったりした結果を踏まえて決めた。他にはアップルシナモンやバナナチョコなどが候補に挙がった。

 フィリングは『ミニチュロス』専用の特注品。風味はもちろんのこと、溶けてなくならないためにするため水分量を変えるなど試作を繰り返しつくり込んだ。

中のフィリング(チョコソース)。生地とフィリングの見直しにより溶けてなくなることなく、食べたときにソースが実感できるようになっている

売場の観察を元に考えられたパッケージデザイン

 パッケージデザインもこだわったところ。目立つ背景色を使ったのが特徴だ。

 背景色は売場の観察を元に考えられた。遠藤氏は次のよう振り返る。

「冷凍スナックの売場に行き、パッケージにどんな色が多く使われているのかなどを調べてきました。チョコソースは黄色、カスタードソースは水色を基調としましたが、どちらも使われていない色で、背景に使うと結構目立ちます」

 目立つがあまり使われていない色を背景色にすることで、冷凍スナックではなじみが薄いチュロスを売場で目立たせることにした。現在のデザインに決まるまで20案近く検討。消費者調査の声も取り入れながらブラッシュアップを重ねてつくり込んでいった。

キッチンカーで焼き立てを配布

『ミニチュロス』は発売に合わせてテレビCMを放映。サクッとした独特の食感にこだわってつくったので、CMでは食べたときの音を伝えるつくりにした。

 発売直後はTwitter(現X)とInstagramでプレゼントが当たるキャンキャンペーンも実施したが、サクッとした独特の食感を体感してもらうために実施したのが無料サンプリング。オリジナルのキッチンカーが配布スポットに出向き、焼きたてを配った。

 サンプリングについて、プロダクトマネジメント統括部第三部ディレクショングループ 主査の渡辺誠治氏は次のように話す。

「2022年10月に東京ソラマチ(東京都墨田区)、イオンレイクタウン(埼玉県越谷市)、ららぽーと横浜(横浜市都筑区)の3か所で実施しました。キッチンカーで焼いたものを全部で1万6000本近く配っています」

サンプリング会場となったららぽーと横浜でのキッチンカー

 配布本数は長いこと待たせることなく渡すことができる最大限の本数だった。「焼きたてを渡すとはいえ、あまり待たせるわけにはいきません。もっと多く配ることができたかもしれませんが、あまり待たせることなく渡すには、これが限界でした」と渡辺氏。それでもサンプリング当日は長い列がキッチンカーの前にできたほどだった。

日清製粉ウェルナプロダクトマネジメント統括部第三部ディレクショングループ・主査
渡辺誠治氏(左)
プロダクトマネジメント統括部第三部ディレクショングループ
遠藤駿氏(中央)
プロダクトマネジメント統括部第三部ディレクショングループ・グループリーダー
菊池和哉氏(右)

アイスとのコラボを提案すると売上が伸びる

 また、営業からの声を受けて売場でアイスとのコラボを始めた。アイス会社と共同で、アイスに『ミニチュロス』を添えて食べるときにアイスをつけて食べるといった提案をすることにした。アイスとのコラボを意識して、2023年9月からチョコソース入りとカスタードソース入りのパッケージにアイスと一緒に盛り付けた画像を追加することにした。菊池氏は次のように話す。

「冷凍食品とアイスは売場が隣同士であることが一般的なことから、当社の営業からアイス会社にコラボを提案しています。コラボが実現しアイスに『ミニチュロス』を添える食べ方提案をしたところは、売上を伸ばしました」

 2023年3月にいちごクリームソース入り、9月に北海道産小豆のこしあん入りをラインアップに追加した。パッケージデザインはチョコソース入りとカスタードソース入りと同系統だが、背景色に関しては商品イメージに沿ったものをチョイスした。

 これら新フレーバーは支持が高いことに加え季節感という観点から選定。こしあん入りについては、子どもだけではなく大人にも楽しんでもらうことも意識したという。

Smart Table ミニチュロス いちごクリームソース入り

Smart Table ミニチュロス 北海道産小豆のこしあん入り

取材からわかった『Smart Table ミニチュロス』のヒット要因3

1.調理のハードルを下げた

 チュロスは長いものになると40cm程度ある上に油で揚げた後に砂糖をまぶすので、家庭でつくるのは大変。それをオーブントースターかオーブンで焼くだけとした。フィリング入りなので味付けが不要。美味しさもさることながら、調理のハードルを下げたことが支持された。

2.冷凍スナックの浸透に対応

 冷凍スナックはお家時間を充実させるのにピッタリで、コロナ禍で需要が拡大。テーマパークや映画館でおなじみのチュロスを家で気軽に楽しめるようにしたことは、外出が制限されていた時流に乗ったものだった。

3.チュロスの高い認知度

 食した経験の有無はともかく、チュロスの認知度が高く受け入れやすい下地ができていたことが大きいのではないだろうか? そのため、発売と同時に支持を獲得することができた。

「SNSでの反応を見ると、こだわったサクッとした食感については気づいていただけているようです。フィリングが入っているところも喜ばれています」と遠藤氏。日本でもチュロスが広く知られるようになったので、定期的に新フレーバーを投入していくなどしていけば、今後も順調に売れ続けるであろう。

製品情報
https://www.nisshin-seifun-welna.com/index/churros/

文/大沢裕司

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