10月4日の日経平均株価は5日続落し、前日比711円06銭安の30,526円88銭で取引を終えた。今後はどのような動きが考えられるのか?
三井住友DSアセットマネジメントはこのほど、同社チーフマーケットストラテジストの市川雅浩氏がその時々の市場動向を解説する「市川レポート」の最新版として、「日本株下落の背景と今後の焦点」と題したマーケットレポートを公開した。レポートの詳細は以下の通り。
日本株の下落要因は米長期金利上昇や国内企業改革遅延などで海外勢の売りも目立ってきた
10月4日の日経平均株価は5日続落となり、前日比711円06銭安の30,526円88銭で取引を終えた。終値で31,000円を割り込むのは、5月31日以来、約4カ月ぶりのことだ。
日経平均は7月3日に、東証株価指数(TOPIX)は9月19日に、それぞれ終値ベースでの年初来高値をつけているが(順に33,753円33銭、2,430.30ポイント)、そこから10月4日までの下落率は、日経平均が9.6%、TOPIXは8.7%に達している。
日本株が調整色を強めている理由について、海外要因では、主に米国における金融引き締めの長期化観測と長期金利上昇による株安の影響が考えられる。
国内要因としては、4-6月期決算発表以降、業績に関する材料がやや不足していることや、企業の資本コストや株価を意識した経営実現に向けた取り組みの開示が遅れていることなどが挙げられ、夏場以降、海外投資家の日本株売りも目立つようになった(図表1)。
ただ、日経平均の下落は依然として長期上昇トレンド内の動きであるため、「健全な調整」といえる
一般に、相場が大きく変動した場合、その要因を検証することも大切だが、長期的なトレンドを把握しておくことも非常に重要だ。そこで、これまで何度が本レポートにて紹介してきた、日経平均の長期トレンドを確認する。
日経平均は、図表2の通り、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線によって、上昇トレンドを形成している。
日経平均は夏場以降、さえない動きが続いているが、依然、長期上昇トレンド内の推移であり、また、6月、7月の月足が上値抵抗線でしっかりおさえられたことを踏まえると、この長期上昇トレンドはやはり有効と判断される。
つまり、足元の日経平均の下落は「健全な調整」であり、逆に、業績の手掛かりが不足し、企業改革が遅れているなかで株高が続いた方が、バブル的な要素を強め、後々深刻な調整に至るリスクが大きくなると考える。