小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

【今月のマストリードな1冊】読み始めたら止まらなくなる傑作、スティーヴン・キング「異能機関」

2023.08.27PR

……そしたら皆さん、面白かったんですよ。

最初に登場するのは、ある職務上のトラブルから警察を辞職した42歳のティム・ジェイミースン。彼がサウスカロライナ州の田舎町デュプレイに流れつき、警察で募集していた「夜まわり番(ナイトノッカー)」の臨時仕事につくエピソードからこの長い物語は滑り出します。

次に登場するのが、ミネソタ州のミネアポリスに暮らす12歳のルーク・エリスです。平凡な両親のもと生まれたのに、優秀な子供を集めた特待学童専門校に通う天才少年。ルークにはずば抜けた頭脳以外にも特殊能力があって、それが小さな念動力。大学進学適正試験(SAT)のやすやすパスして、マサチューセッツ工科大学の入学内定を勝ち取ったルークだったんですが、ある夜、3人の不審な男女に拉致されてしまうんです。

連れられていった先は「研究所」と呼ばれる施設。そこにはルークと同じように自宅から拉致された少年少女が集められていて、子供たちの共通点は「テレキネシス(念動力)」か「テレパシー」の超能力を持っていること。

ルークが黒人少女のカリーシャや反抗的な少年ニック、強力なテレパシーの持ち主である10歳の少年エイヴァリーらと仲良くなっていく過程を描く中、この施設が子供たちに何をしているのか、子供たちにその能力で何をさせようとしているのかが、じょじょに明らかになっていく展開が見事。「これよ、これ! ページを繰る指を止めさせない、これがキングの真骨頂なのよっ」というページターナーぶりが堪能できる上下巻なんです。

さて、そうしたルークらの物語に、最初の登場人物であるティムの物語がどう合流するのか。キーになるのは、小説内で幾度か繰り返されるこの言葉。「大きな出来事でも、動きの軸になるのは小さな蝶番だ」。

大きな出来事が何なのか。小さな蝶番は、誰が、どんなエピソードが担うのか。それはこれから読む皆さんが楽しむところ。粗筋番長を自称するトヨザキですが、この作品に関しては自粛いたします。わたしの印象としては、キングの代表作のひとつ『IT』(文春文庫)とディーン・R・クーンツの傑作『ウォッチャーズ』(文春文庫)の魅力を併せ持った読み心地。褒めすぎかなあ。や、褒めすぎじゃないでしょー!

最後にアドバイスがひとつ。本を開くのは休日の前夜からにしたほうがいいです。ルークが施設に連れ去られて以降は、読むのを途中でやめるのが「苦痛」といっても過言ではないほど難しいので。

文/豊崎由美(書評家)
『沢蟹まけると意志の力』や『妻の帝国』などの著書で知られる小説家の佐藤哲也さんの訃報に接し、落胆しています。思弁的なコミックノベル、思弁的な歴史小説の書き手として希有な存在でした。ご冥福をお祈り申し上げます。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年9月13日(金) 発売

DIME最新号は「AIスマホ Copilot+ PC 完全攻略ガイド」!SKY-HI、パリ五輪代表Shigekixも登場!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。