リモートワークが広まる中、部下の動向を把握することはリーダーにとって重要な課題です。しかし、距離や時間の制約がある中で、その方法を模索するのは容易ではありません。そこで、本記事ではリモートワークにおける部下のしっかりとした把握方法を探求します。コミュニケーションツールの効果的な活用や目標設定の透明化など、実践的なアプローチを解説し、リモートワークを成功に導くリーダーの手法に迫ります。
(1)リモートワーク時代の部下把握法
リモートワーク導入当初は、リモートワークなんてすると、部下が何しているのか把握できないじゃないか?と不安に陥った管理職の方も多いのではないでしょうか。本来、管理職は部下がどこで働いていようが、チームパフォーマンスを最大化させる事がミッションな訳で、コロナ禍でよりリモートワークの推進が一気に進んだと見ています。
リモートワーク時の部下の管理方法は、至ってシンプルです。
1. ルールを明確に設定する
2. 役割を明確に設定する
上司は、この2つに絞って管理する事で部下を把握する事が出来ます。
まずは、ルールを明確に設定するというのは、以下が簡単な例です。
・日報は、17時半までに報告する
・出勤時は、チャットに「おはようございます。勤務開始します」と投稿する
退勤時は、チャットに「退勤します。お疲れ様でした」と投稿する
また、部下の状況を把握するという点において日報は、ただ報告すれば良いという訳ではなく、上司が管理上、必要な情報を報告させるという事が重要です。
よって、報告フォーマットは上司が用意し、それに沿って部下が報告する事で、
わざわざ上司から確認するロスが軽減できます。
次に、役割を明確に設定するというのは、以下が簡単な例です。
・1週間でアポイントを5件獲得する
・1週間で、〇〇の資料を作成し、上司の承認を取る。
・1週間で、SNSの投稿を10件行う
ここでのポイントは、期限を迎えた時に出来たか、出来なかったかが明確になる設定にする事です。これを曖昧にしてしまうと、部下に「自分は頑張ったのに、上司が評価してくれない」と部下に自己評価させてしまう原因になります。
上記2点をまとめると、上司は部下を迷わさないよう、ルールと役割を明確にしてあげる事が重要なポイントになります。
(2)成功のカギは、部下とのコミュニケーション
コミュニケーションと聞いて、まずイメージするのは電話?1on1?と想像するのではないでしょうか?
ここでのコミュニケーションは、目標を達成する為に、現状何が足りていなくて、その原因は何なのか。そして、どのように改善すれば良いのか?という事をコミュニケーションと定義しています。
稀に「今何しているのか?」や「サボってないか?」等と、監視をしようとする行動を取ってしまう管理職の方がいますが、これでは部下は仕事に集中出来ませんし、怒られたくない思考から、嘘の報告をしたりしてしまいます。
よって、コミュニケーションの手順としては、4つのステップです。
1 上司がゴールを明確に設定する
2 未達があれば、部下が未達の理由及ぶ原因を分析
3 上司がそれに対して、フィードバックを実施
4 部下が改善策を報告し、次のゴールを約束する
ここでの注意点ですが、上司が未達の部下に対して感情的に怒り、自分のやり方を手取り足取り指導する熱血系管理職がおられますが、これは逆効果なので止めましょう。
部下が成長するには、自分で考え事を実行し、上司のフィードバックを受け、行動を修正する。この繰り返しが、中長期的に部下の成長の糧になります。
(3)リモートワークにおける評価とは
リモートワークだと評価が難しいとの声がよく聞こえます。
なぜ、難しいのか答えは簡単で、プロセスで評価しようとしているからです。
当然、リモートワークになると部下の頑張り等、把握したくても出来ません。
むしろ、しなくて良いというのが正解です。企業はお客様から報酬をいただく為に、評価され続ける必要があり、成長し続けなくてはなりません。その市場原理から考えると、当然、従業員にも成長を求めなければ最悪、解雇や会社が倒産してしまいます。
また、結果を評価するという事は、全従業員が平等に評価される環境となり、年齢関係なく会社に貢献している人は、役職、報酬が連動していきます。
上司も、定性的な評価だと迷いや人間関係を考慮し、正しく評価できない事が発生してしまいます。定量的な評価には、感情が含まれず事実に基づいた評価がなされる為、
極めて公平性の高い制度となります。
(4)まとめ
様々な家庭環境がある中で働き方の多様化による、リモートワークは従業員にとってメリットも多く、企業の採用力の1つとして今後は注目されていくはずです。
ただし、リモートワークを機能させる為には、今回お伝えした、ルール、役割、評価を
明確にし、管理職も一度作成して終わってはいけません。
リモートワークは、出社と比べて、相談の気軽さという点においては、劣る傾向にありますので、現行のルールや指示が、部下の業務の弊害になっていないか等の情報収集は積極的に上司から部下に聞きにいく必要があります。
上司は、常に部下のパフォーマンス並びに、自チームのパフォーマンスを最大化する為には、どのようなルールが良いかを考え、実行、修正を繰り返していただければ、リモートワークでもパフォーマンスの高いチームになっていくはずです。
文/株式会社識学 田中慎一