チームとして活動するにあたり最低限守って欲しいルールを伝える
「チームのメンバーが全員自分だったらいいのに・・・」
こう考えるリーダー、多いのではないでしょうか。
「メンバーは自分と比べて仕事に対する熱意が圧倒的に足りていない」
「何でこんな当たり前のことも出来ないんだろう・・・」
「常識的にあり得ない行動をとるなぁ」
自分と比べて当たり前の基準が異なるメンバーを見て、リーダーは日々このようなことで悩んでいませんか。
人は皆、異なる環境で生活し、得てきた知識も経験も異なるため、それぞれに別々の考え方を持っています。
異なる考え方のメンバーが集まりチームとなると、当たり前の感覚や常識とする考えにズレが出てきます。
このズレを抱えたままチームで仕事を進めて行くと、特にリーダーにイライラが募ってきます。
まずは、この当たり前の感覚や常識とする考え方のズレをチームから取り除く作業が必要です。
そのために必要となるのが「チームとしての当たり前の基準=チームのメンバーとして最低限守って欲しいルール」を明確に設定していくことが求められます。
・日報は所定のフォーマットで18時までに社内SNSにて提出。提出が遅れる場合は、期限前に必ずリーダーに連絡すること。
・毎週月曜日9時からのチームミーティングには必ず出席すること。
・営業活動を行った際には、翌営業日の10時までに、所定のフォーマットで、営業活動報告を社内SNSに投稿すること。
等々、チームの一員として最低限守って欲しいルールを明確に設定することで、チームとしてのズレをなくし、チーム間でコミュニケーションをとる上での土台固めをしていきましょう。
また、この当たり前のルールをメンバーが守れていない際には、「チームのメンバーとして必ずこれだけは守って下さい」というメッセージを淡々と繰り返すことで、メンバーの意識に守らざるを得ない認識を植え付けていくことも、ズレをなくしていく上でリーダーに求められる役割です。
チームとしてのゴール、メンバーのゴールを明確に伝える。
チームが成長し、その中で個人が成長することが、リーダーとメンバーの利害を一致させます。
チームだけ成長し、個人が成長しないことは問題ありますし、チームが低迷し、個人だけが成長し成果を出している状態であったとしても、組織の中でメンバー個人が報われることは困難です。
この前提をリーダーがメンバーに発信し、チームとメンバー、それぞれのゴールが何なのか、リーダーがメンバーに明確にしていくことがチーム運営には必要不可欠です。
このゴール設定については、リーダーとメンバーの間で認識がズレないように「いつまでに、どのような状態にする」という形で設定されていることが望まれます。
メンバーの成長がチームの成長に結び付いていることをメンバーが理解し、メンバー個人の成長とチームの成長が目に見える形でメンバーに共有されることが出来れば、リーダー、メンバー、双方の利害が一致した中で、メンバーのチームに所属することの満足度が向上していきます。
これを実現するために、リーダーは、チームとメンバーのゴールに対する不足を明らかにし、不足を埋めるための施策をメンバーとともに立案し、実行することが望まれます。
メンバーがゴールに向かう上での梯子をかけていく。
これまで2つお伝えした通り、チームの中での当たり前の基準を揃え、チームとメンバーのゴールを明確に共有することが出来た前提で、次にリーダーがやるべきことは、メンバーが個人のゴールへ向かう上での梯子をかけていくことです。
リーダーがメンバー個人にゴール設定した際、迷わずゴールに向かうことが出来るメンバーがいる一方で、技能や経験が乏しいことから、ゴールに向かうことに迷いがあるメンバーが出てくることもあるでしょう。
ゴールに向かうことに迷いがあるメンバーがいた際、リーダーはこれを放置するのではなく、ゴールに向かう上での梯子をかけていくことが求められます。
この梯子を掛ける作業をリーダーがメンバーに対して行わない場合、メンバー個人が迷ったまま成長しない状態が続き、出来ないメンバーが出来ないメンバーであり続ける状態となり、これが出来ないメンバーの離職に繋がります。
では、メンバーがゴールに向かう上での梯子をかけていくとはどのようなことか。
それは、
①ゴールに至る道筋を分解し、手前のポイントを指定してあげること
②ゴールに至る道筋から大きく外れないように、ルールで道幅を狭めてあげること
の2つです。
①の「手前のポイントを指定する」とは、売上目標に対して迷いがあるメンバーに対して、「商談数」「提案数」「見積書提出数」「商談からの成約率」「提案からの成約率」等、売上に至る道筋において、メンバーの技能・経験に応じて、迷いのないポイントの目標を設定し、最後のゴールと2つ見ながら進ませることで、迷わない状態を作ることです。
②の「ルールで道幅を狭める」とは、売上目標に対して迷いがあるメンバーに対して「商談時、ヒアリングシートの内容を全てヒアリングし、ヒアリングシートに記載して下さい」「特定のメンバーは、商談前、提案前に、上司とロープレを実施してから商談、提案に臨んでください」というように、メンバーの技能・経験に応じて、ゴールに向けて迷いのないガイドラインを設定し、成長を促していく流れです。
①②を実施する際、リーダーが注意するポイントは、細かく①②を設定しすぎると、メンバーが自ら考えなくなり、リーダーの指示を待つ傾向が強くなります。
メンバーが考える余地を残しながら、かつ、ゴールに向けて迷わない状況を作るには、どのように①②を設定すべきか、リーダーは試行錯誤を繰り返しながら、メンバー毎にこの梯子をかける精度を上げていくことが求められます。
最後に
リーダーは、チームの成長を実現し、部下の成長を見守ることが求められますが、自身がプレイングマネージャーである時は特に、メンバーに付きっきりで、部下の行動に逐一介入することは時間の都合上出来ません。
だからこそ、(1)当たり前の基準を揃える、(2)チームとメンバーのゴールを明確に設定する、(3)メンバーのゴールに向けた梯子を掛ける、という点でのマネジメントが必要です。
初めてリーダーに選抜された方は、是非、この3点を実行し、チームの成長とメンバーの成長を実現頂ければ幸いです。
文/株式会社識学 岩澤雅裕