代替卵
3年前と比べて卵の価格が約2倍以上に高騰、卵メニューを休止する外食大手が増えるなど依然続く〝エッグショック〟。そんな中、注目されているのが「代替卵」。代替卵とは大豆など植物由来の原材料で作られたもの。代替食品は味が不満……という意見も多いが、大手食品メーカーが参入し、技術を結集して作った代替卵は言われなければ気づかないほどの再現率の高さに驚く。
「半熟のふわとろ感と卵の持つ熱凝固性の再現に尽力した」と話すのは、キユーピー研究開発の綿貫智香さん。卵アレルギーの子供のいる飲食業関係者が上げた、完成度の高さに感激するツイートがバズって大きな反響につながったという。
カゴメはインバウンド需要を狙ってプラントベース商品と業務用で販売していたが国内でもSDGsの意識が高まり、一般販売を開始。カゴメ広報の榎木彩乃さんは、「レンジでチンしても半熟のふわとろ食感を手軽に楽しめます。常温1年保存可能です」と話す。
実は価格だけを見れば、高騰中の鶏卵に比べても代替卵のほうが圧倒的に割高だ。しかし食料危機や環境負荷を低減するメリットはある。サステナブルな食生活のひとつとして取り入れていきたい。
代替食の進化を感じさせる完成度で消費者の心をつかんだ代替卵。食物アレルギー配慮から給食の採用も進みスーパーでも購入できるように。今後も流通の拡大が進みそうだ。
大手食品メーカー2社が相次いで発売
カゴメ『Ever Egg』
カゴメとTWOが共同開発。人参と白いんげん豆を原材料に野菜半熟化製法で卵のふわとろ食感や色を実現。コレステロールゼロ。スーパーやオンラインなどで販売する。
〈EDITOR’S CHECK〉
火加減を気にしなくても卵の半熟ふわとろ感が出せるので料理初心者にも使い勝手がよさそう。
キユーピー『HOBOTAMA(加熱用液卵風)』182円
『HOBOTAMA(スクランブルエッグ風)』214円
溶き卵のような液卵風とスクランブルエッグ風の2種類。アーモンドや豆乳が主原料。冷凍12か月保存が可能で通販に対応する。
〈EDITOR’S CHECK〉
火の入り方もほぼ鶏卵と同じ。卵に精通する企業が本気で作った味とクオリティーが楽しめる。
採卵鶏のケージ飼いの劣悪な飼育環境が問題に。欧州ではケージ飼いの規制が進み、日本では企業の自主的な動きが始まった。
取材・文/嶺月香里
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。