■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
アウトドアと日常をシームレスにつなぐギアが増えている。
スノーピークが発売した「サヨウ」もそのひとつ。
スノーピークでは2020年と2022年に茶筅や茶杓、湯飲みなどをまとめた「野点セット」を販売し、即完売となった実績がある。2023年に発売された「サヨウ」(1万5400円)は抹茶を点てるのではなく、茶葉を楽しむセット。より手軽にアウトドアでお茶をいれるための道具となっている。
通常の急須にはハンドルが付いているが、「サヨウ」の急須は本体をそのままつかみ湯飲みに注ぐ。
破損しやすいハンドルがないストンとした円柱形、ガラス製に見えるが透明度の高いトライタン(飽和ポリエステル樹脂)製で多少ラフに扱っても割れづらい。もちろん手に熱さが伝わりにくい絶妙な厚みだ。
また、通常の急須のように細い注ぎ口はついておらず普通のスポンジで隅々まで洗えるのがうれしい。ハンドルや注ぎ口が飛び出ていないので、冷蔵庫に保管して水出しするなんて時にも便利だ。
よく見るとフタに細かな穴が空いていて茶こしがわりになっていることがわかる。
フタはステンレス製で周囲にパッキンを装備しているおかげで急須を真横に倒してもフタは落ちにくい。
さらに密着したフタのおかげで細かな茶葉が流れ出ることもない。最小限の構造でここまでできるのはさすが。
サヨウは透明な急須と湯飲みで〝茶踊〟を楽しむもの
商品名の「サヨウ」とは茶踊のことを指す。
茶葉が上下に踊る様子、徐々に茶葉からうまみが抽出され色が変わっていく様子を眺める急須と、お茶と自然の色を愛でながらいただく透明な湯飲み。
急須でいれるのは日本茶だけでなく紅茶、中国茶などなんでもいい。
ドライフルーツやスパイスをいれたフルーツティーで華やかなティータイムを演出するのも楽しそう。
野点ほど手間はかからないが、ティーパックよりも丁寧に。「サヨウ」にはちょっとしたゆとりをアウトドアや日常に取り入れてほしいというメッセージが込められているようだ。
ちなみに「サヨウ」の急須は最大約450mL、付属の湯飲みは段差のところまでで約100mL。
アウトドア用のカップ類には目盛り付きのモノが多いけれど「サヨウ」には目盛りが刻まれていない。これも茶葉の様子を楽しめる秘訣。
正確に湯の量を計るなら、スノーピーク製ほか多くのシェラカップに目盛りが付いているのでそうしたものを利用すればいい。
「サヨウ」の急須一杯で付属の湯飲み4脚分を一度にいれられる。
付属している湯飲みは2脚だが、湯飲みのみ追加購入することも可能だ。「サヨウ クリア湯飲み(2個セット)」は3300円。
湯飲みもトライタン製で茶と自然の色を同時に愛でられる。スノーピークを象徴するアスタリスクが記されているのも粋だ。