今年、卸売・小売業界に就職した新入社員たちは、どんな仕事の悩みを抱え、また、どんなスキルを身に付けたいと考えているのだろうか?
ラーニングエージェンシーおよびラーニングイノベーション総合研究所はこのほど、2023年入社の新入社員5,623人を対象に「新入社員意識調査」を行い、その中から卸売業・小売業に入社した新入社員の結果を発表した。
入社式後の新人の気持ち、半数以上が「不安」「緊張」と回答
2023年4月、入社式を終えたばかりの新入社員5,623人に、現在の気持ちを単一選択で質問した。結果、卸売業・小売業の新入社員は、「不安」と回答した新人が33.1%と最も高くなった。
次に、「緊張」が26.0%、「期待」が14.8%と続いた。「緊張」に関しては、卸売業・小売業界を除く全業種(以下、『他業種』と記載)よりも5.1ポイント高い結果になった。(図1)
さらに、卸売業・小売業の新入社員が現時点で「不安」に感じることは何か質問したところ、「仕事についていけるか(仕事の難易度)」が最も高く63.1%となった。以下、「社会人の基礎的なマナーの習得」が47.3%、「生活リズムや社会人としての考え方の習得」が43.2%と続いた。
他業種との比較においては「社会人の基礎的なマナーの習得」が他業種よりも7.0ポイント高い結果となり、卸売業・小売業の新入社員は、他業種よりも社会人としてのふるまいに不安を感じていることがわかる。(図2)
身につけたいスキル、8割以上が「ビジネスマナー」と回答
また、マナーの習得に関して不安を感じていることは、こちらの質問への回答結果からも見受けられた。社会人1年目で身につけたいスキルは何かを質問したところ、「ビジネスマナー」が85.5%と最も高い割合となった。
他業種との比較においても「ビジネスマナー」を身につけたいと回答した割合は、他業種より9.4ポイントと1割近く高い結果となった。
なお、卸売業・小売業と他業種とで回答結果に最も差が出た項目は「ITリテラシー」だ。こちらは逆に他業種よりも身につけたいと回答した割合は22.6ポイント低く、3.3%の結果となった。(図3)
昨年より「リーダー志向」が5.2ポイント減少
次に、キャリア志向についてみていく。将来会社でどのような役割を担いたいかという質問に対する回答を、2019年からの5年間で比較したところ、卸売業・小売業の新入社員は5年連続で「組織を率いるリーダーとなり、マネジメント行いたい」が最も高い割合となっている。
今年も「組織を率いるリーダーとなり、マネジメント行いたい」が31.8%と最も高い割合となったが、昨年より5.2ポイント減少。
一方、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」が27.6%、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が25.5%と、それぞれ昨年より4.5ポイント、3.7ポイント増加する結果となった。
リーダー志向が高い傾向にあった卸売業・小売業の新入社員だが、今年はキャリアについて明確な志向を持っていない割合が増加していることが特徴と言えるだろう。(図4)