「ダイエットしたいと思いながら、つい食べすぎてしまう」「忙しすぎて、自分のやりたいことをする時間がもてない」「相手にハッキリ言うことができず、ストレスを感じた」「ついスマホを見すぎて、時間をムダにしてしまった」など、思いどおりにいかない自分に苛立だったり、自分を責めたりしたこはないでしょうか?
日々の生活の中で、意志が弱く、なかなか思いどおりにいかないことってありますよね。でも、実は自分を変えることができるかどうかに、意志が強いか弱いかは関係ないそうです。
意志の力に頼るのでなければ、どうしたらいいか。その答えは「言葉の力」を利用することだそうです。人は1日の中で、自分との会話「脳内トーク」を何千回から何万回も行っていると考えられています。つまり、脳は「脳内トーク」の影響を多大に受けているのです。
それなのに私たちは他人と話す技術は学ぼうとするのに、なぜ自分と話す技術は学ばないのでしょうか? 今回は最新の研究データに基づき、誰でも簡単に「脳内トーク」を変えられる方法を、わかりやすく解説した脳科学者の西 剛志さんの著書「世界一やさしい自分を変える方法」の中からDIME読者におすすめしたいノウハウを厳選、再編集してお届けします!
「脳内トーク」の技術を駆使して、脳をよい意味で騙し、自らを成功へと導いてください。
思考を深めるための4つの視点
思考を深めるために具体的にどうやって視点を増やしていけばいいのでしょうか。ポイントは「4つの視点」で「脳内トーク」をすることです。
視点1 人の視点
視点2 場所の視点
視点3 時間の視点
視点4 プラスとマイナスの視点
この4つの視点をベースに「脳内トーク」をしていくと、考えが自然と深まっていきます。
この4つの視点が必要な背景には、「人は自分中心の視点で物事を見がちである」ということがあります。意識しないと、どうしても「自分はこう思う」という視点ばかりになりがちなのです。私たちには、脳のバイアス(考え方の偏り)があるため、自分だけの視点だとバイアスがかかり、正しい判断ができなくなってしまうのです。
一方で、仕事ですごい成果を出す人は、バイアスにとらわれず、さまざまな視点から対象に迫ることができます。
人の視点
たとえば、新しい商品やサービスを考えるとき。
うまくいく人ほど、次のような「脳内トーク」をしています。
「自分の考えは正しくないかも? 他の人から見たら、どうだろう?」
「異性の立場からだと、どんなふうに見えるんだろう?」
「若い人やお年寄り、子どもの視点から見ると、どう感じるんだろう?」
「自分も相手も喜ぶ提案があるとしたら、なんだろう?」
視点を、自分以外の誰かに切り替える「脳内トーク」をすると、これまでにない発想が生まれる可能性があります。
たとえば、美容整形ビジネス。これまで、このビジネスは女性がメインのお客さんでした。これを「男性の立場から見ると、どう思うのだろう?」と「脳内トーク」をしてみるとどうでしょうか。それによって、これまで考えたこともないような発想が出てくるかもしれません。
実際に、最近は、男性向けの美容整形ビジネスが加速しており、売り上げそのものも大きく伸びているという事例もあるそうです。
ここまで見てきたのが「人の視点」です。
場所の視点
次は「場所の視点」です。
違う場所からの視点で「脳内トーク」をしてみることが、思考を深めることにつながります。
たとえば、日本国内という場所から見るのと、海外の視点を取り入れて見るのでは、ビジネスは大きく変わります。
「日本からだけでなく、他の国から見たらどう見えるだろう?」
「地球規模で考えると、どんなふうに見えるだろう?」
というのも、うまくいく人がよく使っている「思考を深める脳内トーク」です。
実際に、国内の学生人口が減る中、海外からの留学生を大幅に増やす方針を立てた大学は、今後大きく成功していくことが見込まれています。
私の一番最初の本は「脳と子育て」をテーマにしたのですが、これは、海外から見たときに、日本の教育ブランドがまだまだ高いことを知り、自分の本を海外でも読んでもらうチャンスがあると考えたためです。
おかげさまで、台湾、韓国、シンガポール、香港など4カ国でも発売されて、海外にも広がっています。
時間の視点
3つ目の「時間の視点」も大切です。
今の視点で物事を考えてしまうと、どうしても考えが短絡的になりがちです。
しかし、そんなときは、
「将来の視点から見たときに、本当にその考え方は正しいのだろうか?」
と「脳内トーク」してみます。
たとえば、一時期、高級食パンが大ブームとなり、この波に乗り遅れまいと、たくさんの高級食パンの店がオープンしました。
しかし、今では乱立状態になり、閉店する店舗もでてきています。その前のタピオカブームも同じですね。
ブームというのは、歴史的に見ても、一過性であることがほとんどです。その後、定番化するものもありますが、ブーム時の勢いがずっと続くことはないので、引き際も大切になってきます。
本質的に、何が今後求められていくのか。時間の視点を変えることで、その答えが見えてくるのです。
有名な例は、アマゾンを創業したジェフ・ベゾスです。彼はもともとウォールストリートで金融決算システムを手がけている企業の開発担当のビジネスパーソンでした。
彼はあるとき、インターネット書店の構想が思い浮かんで上司に相談したところ、「もう一度よく考えろ」と言われてしまいました。そのとき、ベゾスは「自分の人生を80歳に向けて眺めてみよう。そして、後悔を最小にできる選択は何だろう?」と自問しました。結果、出てきた答えが「自分で創業しよう」ということだったのです。
これも「時間の視点」でうまれた「脳内トーク」です。
プラスとマイナスの視点
4つ目の視点が、「プラスとマイナスの視点」です。
光があるところには必ず影があるように、物事には必ずメリットとデメリットがあります。この視点は、その両方を見つめる「脳内トーク」です。具体的には、
「このことのメリットとデメリットはなんだろう?」
と「脳内トーク」します。
何か考えるときに、プラスの側面ばかり見る人がいますが、これは極端な楽観主義につながります。楽観的になりすぎると、反省しなくなり、同じ過ちを何度もくり返す人になってしまう可能性があります。
ウォルト・ディズニーが大成功した要因の1つに、「ドリーマー」と呼ばれる夢を見る人格と、「リアリスト、クリティック」という、現実的に考えることができる人格の両方の視点があったからだと言われています。
これは、メリットとデメリットを同時に把握しながら、夢をベースに課題を乗り越えていった結果とも言えます。
素晴らしい夢を実現している人の多くが「楽観的な現実主義者」なのです。
この4つの視点をすべて活用し、「脳内トーク」をしていくことで、思考はどんどん深まっていくはずです。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com