HRビジョンが運営する人事関連のポータルサイト「日本の人事部」では、正会員を対象に行なった人事実態調査の結果をまとめた「日本の人事部 人事白書2023」を発刊。本稿では、その一部を抜粋してお伝えしていく。
調査では、人的資本経営やウェルビーイング、採用や育成、評価など人・組織に関わるテーマを網羅。延べ6504社の回答データから、全国の企業人事が抱える課題や、戦略・施策の現状を分析している。
人的資本の情報開示に取り組んでいる企業は1割以下
人的資本の情報開示に関する取り組み状況を聞いたところ、結果は、「取り組んでいる」(8.7%)、「取り組むために準備している」(21.7%)、「取り組むことを検討している」(19.0%)、「取り組む予定はない」(30.0%)となった。
近年、企業経営における人的資本の重要性が指摘されているが、情報開示への取り組みはあまり進んでいるとはいえない状況だ。
CHRO(最高人事責任者)がいる企業は約2割、5001人以上の企業では約半数で設置
2022年度は「CHRO(もしくは人事担当役員)」がいるかどうかをたずねて、「いる」との回答は35.1%だった。
今年度は「CHRO」に限定したところ、「いる」は21.1%にとどまった。最高人事責任者という、より狭義なものにしたことで、割合が低くなっている。
採用力強化へ4割の企業が「報酬の改定」「長時間労働の是正」を実施
採用力強化のために実施していることや予定していることを聞いた。最も多かったのは「人材教育の拡充」(57.0%)で、半数以上の企業が実施または予定していた。
働く環境の整備については「長時間労働の是正」(45.8%)を選択した企業が多く見受けられた。
最近注目されている「報酬の改定」は38.2%と、約4割の企業が実施または予定している。
女性管理職を増やす取り組みは「特に行なっていない」企業が約4割
女性管理職の割合を増やすために、どのような施策を行っているのかを聞いた。最も多かったのは「特に取り組みは行っていない」で、39.5%だった。
取り組みを行なっている企業では、「労働時間や勤務場所を柔軟に選べる制度(フレックス、リモートワークなど)の導入・拡充」(31.1%)、「女性活躍の目標値や達成時期の明確化」(25.3%)が挙げられている。
調査概要
調査時期/2023年3月6日~3月31日
調査対象/『日本の人事部』正会員
調査方法/Webサイト『日本の人事部』にて回答受付
回答数/のべ6504社、6797人
回答者属性/企業の人事担当者・経営者
質問数/168問
テーマ/1. 戦略人事/2. 採用/3. 育成/4. 制度・評価・賃金/5. ダイバーシティ&インクルージョン/6. 働きやすさ・働きがい/7. 組織開発/8. 注目の人事課題(人的資本の情報開示、ウェルビーイング、Employee Experience、兼業・副業)
冊子概要
編者/日本の人事部』編集部
判型/A4判
ページ数/350ページ
定価/データ版:1万1000円(税込)、製本版/1万1000円(税込)、データ・製本版セット/1万3200円(税込)
※データ版と製本版の掲載内容は同じです。
関連情報
https://jinjibu.jp/research/
構成/清水眞希