日本でフードロス(食品ロス)の問題が大きく取り沙汰されはじめたのは10年前くらいだろうか。農林水産省では2012年度から食品ロス量の推計・公開を開始し、現在も継続されている。
ほんの数年前まで日本の食品ロス量は年間600万トンを超えていたが、2016年度頃から反転・減少しはじめ、2020年度は年間522万トンと推計開始以来最少値を記録した。環境省では飲食店で食べきれなかった「食べ残し」を自己責任で持ち帰る『mottECO(もってこ)』を提唱するなど、近年フードロスに対する取り組みは益々活発化している。
そこで今回は、近年話題になっているフードロス問題の解消に繋がるアプリやウェブサービスをご紹介する。フードロスを減らすだけでなく、家庭の出費を減らし節約にも繋がるサービスなので参考にしてもらいたい。
節約にもなる「フードロス削減系」サービスが急増中
減少しはじめたとはいえ、日本の食品ロス量は先進国の中でもまだまだ高い水準にある。
2030年度までのSDGs達成に向け、日本では食品関連事業者から発生するいわゆる「事業系食品ロス」を2000年度比で半減させる目標を設定している。
そんな背景もあり、ここ数年で注目度が急上昇しているのが気軽に食品ロスの削減に貢献できる「フードロス削減系」サービスだ。コロナ禍で食産業が大きく圧迫されたことも影響し、いわゆる「訳あり品」を安く販売するショッピングアプリやECサイトなどのプラットフォームが急増している。
フードロス削減アプリ(サイト)で主に売られているのは、味や品質に問題がないのに正規価格で売ることができない規格外商品や、賞味期限が間近に迫った商品、過剰在庫品などが主だ。食品だけでなく洗剤や化粧水などの消耗品、衣類、インテリア雑貨、ベビーグッズなどを扱うショップもある。
生産者や販売業者にとっては廃棄せざるを得なかった在庫を売り上げに変えることができるため、参入する業者は少なくない。出品作業も比較的簡単にできるものが多く、地方の農家さんや加工業者さんが全国展開できる機会にもなる。ユーザーにとっては訳あり品が安く購入でき、生活費の節約にもなるのでお得だ。
写真付きの口コミが閲覧・投稿できたり、ポイント還元制度があることもある。フードロス削減や節約に加え、SNSやポイ活要素もあり、お宝アイテムを探す楽しさもある。世代問わず利用する人が増えているのも頷ける、時代に合ったサービスなのだ。
フードロス削減系サービスの利用時に注意したいこと
フードロス削減アプリやWebサイトを利用する際は、いくつか注意しておきたいことがある。それは、「訳あり」の理由をしっかりと確認することだ。在庫過多なのか、見た目が規格外なのか、賞味期限が近いのかなど、値段が安く販売されている理由を明確にし、それについて自分が許容できる内容であるかどうか考えよう。
訳あり品は基本的に消費者がそれを納得したうえで購入することが前提なので、「購入後はいかなる理由があっても返品・交換・クレームは一切受付けません」などの注意書きがされていることも多い。商品詳細ページなどで商品に関する注意書きをよく読み、しっかり納得してから購入することがマナーでありルールだ。
また、EC系アプリ全般にいえることだが、「激安」や「限定価格」などを謳いながらも実際にはそこまで安くない商品が混在していることもあるのには注意したい。一概にはいえないが、「メーカー希望小売価格」は現在の市場価格よりも大幅に値段が高いこともあるためあてにならないケースもある。
狙っている商品がどのくらいお得なのか判断したい場合は、楽天市場やAmazon、価格ドットコムなど大手サイトで検索して市場価格のあたりをつけて比較するのが得策だろう。