5つの寄付団体の選定ポイント
――せっかく寄付をするのであれば、できればペットに優しい活動をされていて、経済的に厳しい団体に寄付したいと思います。アニドネでは寄付団体をどう選定されていますか?
今崎さん まずはアニドネと同様に、日本の動物福祉レベル全体を向上させるような思いを持って頂いているとうれしいです。そういった部分をベースとしながら、実際の認定団体の審査には、いくつかの視点を設けています。
地域との連携や情報公開も含めた“信頼性”、安定した活動や運営面での“持続性”、将来に向けて改善や挑戦を図っていく“成長性”や“先駆性”、そして何よりその現場にいる犬や猫が衛生的・健康的で、スタッフの方と良い関係を作れているかという“動物福祉面”といった点です。
そして結果として、団体のさまざまな活動が地域に対して直接的・間接的に良い影響を与えているような”公益性“を持っていると理想的だと考えています。
選定の観点はたくさんあるので、ぜひアニドネの公式サイトなどもご覧になってもらえると良いかと思います。
良い愛護団体を見極める三つの視点
――上記の質問と重複するかもしれませんが、私達は良い愛護団体と悪い愛護団体をどう見極めたら良いでしょうか?愛護団体から高額でペットを引き取った飼い主さんからの相談が相次いでいます。
今崎さん はい、私たちも最近の「保護犬・保護猫」の認知を利用したような、いわば“保護ビジネス”の拡がりに危惧を抱いています。実際に保護犬・保護猫を迎え入れる際には、いくつかの観点を踏まえて、しっかりと信頼できる団体を見極めてほしいと思っています。
一つ目は、そのペット個体のヒストリーを知ることができるか、ということです。
どこで生まれて、どのような経緯でいまその団体にいるのか、病歴はどうか、といったことです。そのあたりの情報があいまいな場合は、少し注意が必要かもしれません。
二つ目は、譲渡費用の設定です。一概に高い、安いとは言いづらいのですが、フード定期購入や保険加入が長期的に抱き合わせになっていたり、団体への支援として多額寄付が予め設定されていたり、という場合は注意が必要です。いくつかの団体で情報を取りながら、比較していくことが重要だと思います。
三つ目めが、動物福祉の視点です。犬や猫が、その団体に来るまでに不可解な長距離移動をしていないか、という点は確認してみても良いかもしれません。出生地と現在の居場所があまりにも離れている場合は、営利的な流通を経ている可能性がゼロではありません。幼い犬猫が長距離の移動をすることは、心身に大きなダメージがあります。
また譲渡にあたり、しっかりとトライアル期間を設けて、相性などを確認する期間を設けているかどうかも、動物福祉の観点でとても大切なことだと思っています。
保護犬や猫を譲渡する時はヒストリーを聞いて
――最後にリサーチャーとしてペットをお迎えする時のアドバイスをお願いいたします。
今崎さん 犬や猫たちは短い命にもかかわらず、生き方を自由に選べません。
保護団体に救われる保護動物は、私たち人間の諸問題により手放された子たちです。
もしもこれから動物を飼いたいと、この記事に出合ったならば、保護犬や保護猫をご縁として家族に迎えてみませんか。そのときは動物たちのヒストリーを保護団体に聞いて、二度と悲しい思いをさせまいと命と向き合う覚悟も大切です。
彼らはたとえどんな過去を背負っていても、あなたと出合って信頼関係を築けたら、きっとまた限りない無償の愛を注いでくれることでしょう。
――ありがとうございました!
今崎さんのアドバイス「動物たちのヒストリーを知る」は、新しい環境に慣れてもらうためにも重要なポイントになりそう。「動物愛護」と言われるとつい曇りがちな目を見開いて、本当に動物のために活動している団体を支援したい。
インタビュー・文/柿川鮎子