3)スマートショッピング「SmartMat Cloud」の最新アプリ
BtoB向けSaaS事業などを行う株式会社スマートショッピングは、現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、在庫管理を自動化・工程カイゼンを進めるDXソリューション「SmartMat Cloud」を運営している。随時、新機能を追加しており、2023年4月にはアプリをリリースした。
●製造業の課題を解決
同社のCMO 小椋康裕氏は、開発に際して見据えていた製造業の課題について次のように話す。
「VACAの時代に突入し、日本のモノづくり企業が強みとしていた『Just-In-Time』、つまり『必要なモノを、必要なときに、必要な量を生産することで、在庫を徹底的に減らして効率化する』方式が、従来のままでは通用しなくなっています。
出荷・生産を止めないために、サプライチェーン上や製造現場の様々なモノを、担当者が走りまわって欠品を出さないようにしていたり、過剰な戦略在庫を積み上げ、棚卸しで帳尻を何とか合わせているというのが実状です。
DXを進まず効果が出ないことにもつながっています。多岐にわたる現場のモノを人手や大規模システムですべて管理するには無理がある一方で、それがなくてはモノの流れのよどみをカイゼンしていけません。この課題を解決するために開発したのがSmartMat Cloudです」
●解決へのこだわり
同社ならではの解決へのこだわりについて、小椋氏は次のように話す。
「IoTデバイス『スマートマット』は最大の武器です。”重さ”でモノを捉える、という非常にシンプルながら従来なかった発想で、大規模なセンサーを貼り付けることで、技術的・コスト的にむずかしかった、さまざまなモノの実在庫をリアルタイムで把握し、モノの流れを見える化することができます。
これをクラウド上でソフトウェアと組み合わせて使うことで、単に実在庫を数える棚卸しを自動化することに留まらず、様々なモノのリアルタイムの実在庫データという、今までむずかしかった現場カイゼンやサプライチェーンDXのための新たなインプットを活用できるようになります。
現場が使いやすい、使いこなせるという点も重要と考えており、スモールスタートが可能かつデータ形式やUIにもこだわっています」
●スマホで手軽に入出荷処理できるアプリ
4月にリリースされたスマートフォンアプリは、SmartMat Cloudで管理するモノの入出荷処理を効率化するという。
「SmartMat Cloudの現場のオペレーションでは、モノを管理する際に、様々な情報を付加し合わせて管理したいというニーズがありました。そこで担当者が現場でタイムリーに簡単に行えるようにするのがHandy Appです。バーコードで検品や有効期限など情報を入力する入出庫処理や、在庫残量の確認が手軽にできるようになります」
AIやIoTなどの技術を搭載しながら、スマートフォンなどで手軽に点検や管理、業務が行えるソリューションを紹介した。いずれも製造業の現場レベルでのDX推進に寄与しそうだ。
文/石原亜香利