天気痛は7割近くが雨や曇りの日に発症、女性は雨よりも曇りの日が多い傾向
天気痛が発症する気象条件を調査するため「天気痛が起こるのはどんな日が多いですか?」と質問し、“雨の日”“曇りの日”“晴れの日”“あまり関係ない”から選択してもらった。
回答を集計した結果、7割近くの人が雨や曇りの日に発症していることがわかった。性別で見ると、男性は雨の日に発症する人が一番多い一方で、女性はあまり関係ないと回答した人が最も多く、雨よりも曇りの日に発症する人が多いという結果になった。
大塚気象予報士コメント
女性のほうが降雨をもたらす低気圧の接近前に届く微細な気圧変動を敏感に感じている可能性があり、雨が降り出す前から症状が出やすい傾向があると言います。一方、男性は、②の症状の種類に関する設問で「関節痛」という回答が女性より上位となっていることから、雨による湿度上昇で関節痛が発生し、雨の日に症状を訴える方が多くなると考えられます。
一番気にしているのは「気圧」、約8割が症状に関係ありと認識
また、痛みを引き起こす気象要素について、「あなたの天気痛には何が一番関係していると思いますか?」と質問し、“天気”“気圧”“湿度”“気温”“風”から選択してもらった。
回答を集計した結果、8割以上の人が“気圧”と回答し、気圧の変化によって発症する人が多いことがわかった。気圧に次いで多かったのが“天気”、“気温”、“湿度”となった。
台風接近時は天気痛ありの8割以上が、天気痛なしでも1割近くが体の不調を経験
気圧が大きく変化する台風時には、普段あまり天気痛の症状が出ない人でも身体の不調を感じることがある。台風時の症状について「台風が接近する時に体の不調を感じたことがありますか?」と質問し、“ある”“多少ある”“ない”から選択してもらった。
回答を集計した結果、台風接近時は天気痛の自覚がある人の約9割近くが不調を感じたことがあることがわかった。また天気痛を持っていない人の中でも、1割近くの人が不調を経験していた。
都道府県ごとの傾向を見てみると、台風接近時に不調を感じたことがある人の割合は、台風の接近・上陸が多い太平洋側で多い傾向が確認できた。台風接近・上陸の頻度が多いほど、大きな気圧低下にさらされる機会が多いため、不調を感じる人の割合も高くなったと考えられる。
痛みを感じるタイミングについて質問すると、最も多かったのが台風や低気圧の“接近中”という回答で、5割〜7割の人が該当した。次に多かったのが“接近前”という回答で、30代以上の女性は4割以上が該当した。
この結果は、⑧の質問で天気痛が起こる日の天気について質問した結果、女性は天気にあまり関係ないと回答した人が多く、雨よりも曇りの日に症状が出る人が多かったのとも一致する。
大塚気象予報士コメント
この結果の要因として、台風の積乱雲が発生させる微細な気圧変動の影響が考えられます。台風の積乱雲は微細な気圧変動(微気圧変動)を発生させており、これが台風の移動速度より速いスピードで遠くに伝播します。このような微細な気圧変動を敏感に感じ取る人は、台風の接近に伴う本格的な気圧低下の前から天気痛の症状が出やすい傾向があると考えられます。
●佐藤純医師
医師/医学博士
愛知医科大学痛みセンター客員教授、中部大学生命健康科学部教授
パスカル・ユニバース(株)代表
気象変化と慢性疼痛、自律神経の関係が専門
愛知医科大学病院痛みセンターにて2005年より天気痛・気象病外来を開設
気圧医学の第一人者、日本疼痛学会監事、日本運動器疼痛学会理事、日本生気
象学会理事などを歴任
「天気痛ドクター」としてTV、雑誌等マスコミで活躍中、著書多数
●大塚靖子気象予報士
株式会社ウェザーニューズ予報センター
気象予報士、「天気痛予報®」担当
日本生気象学会気象病・天気痛研究委員会
佐藤医師と共に「天気痛予報®」を開発
ユーザーからの天気痛の症状報告を分析し、予報の評価や改善を担う
出典元:株式会社ウェザーニューズ
構成/こじへい