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人々の生活を大きく変化させるAI革命の台風の目、NVIDIAとはどんな企業なのか?

2023.06.04

「梅雨の季節に食べたい料理とレシピをブログ風に教えて」そう入力した途端、「こんにちは、みなさん!梅雨のジメジメした日々にぴったりのさっぱりとした一品をご紹介します。そう、それは「冷やし中華」です!」と、まるで人間が書いたような文章が返ってくる驚異のサービスが、巷を賑わせているChatGPT。プログラムコードを書かせたり、表の作成も可能です。

あまりの優秀さに、文部科学省は学校現場での活用方針のとりまとめに奔走しています。確かに、読書感想文のような簡単な作文であれば数分で終わります。実際、「夏目漱石のこころの感想文を中学生風に書いて」と要求すると、数秒でそれっぽい文章が生成されます。

AIによってインターネットの検索環境は様変わりし、弁護士や会計士などホワイトカラーの仕事は一部置き換わるとも言われています。

IT革命と同等のインパクトを持つAI革命。アルファベット(グーグル)やメタ(フェイスブック)、アマゾンのように大化けすると見られている会社の一つが、半導体メーカーのエヌビディアです。

史上8社目の時価総額1兆ドル超え

エヌビディアは2023年5月30日に時価総額が1兆ドルを超えました。過去、この大台に達したのはアップルとマイクロソフト、アマゾン、アルファベット、サウジアラムコ、テスラ、メタのみ。テスラとメタは現在、7,000億ドルを下回っています。

SNSでは、9年前に150万円でエヌビディア株を買い、それが80倍の1億円になったとの投稿が話題となりました。6年前の2017年5月に日経ビジネスが「トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー」という見出しでエヌビディアを紹介しています。数年前までは、よほど画像処理や半導体に詳しい人でもない限り、知られていない会社でした。

急速に注目を集めるようになったのは、エヌビディアがAI開発になくてはならない存在であることと、業績の急拡大が見込まれているためです。

市場予想を1.5倍上回る売上高

エヌビディアの2023年2-4月の売上高は前期比13%減の71.9億ドル、営業利益は同13%増の21.4億ドルでした。市場を驚かせたのは5-7月の予想。売上高を110億ドルと予想したのです。市場予想は71.5億ドルでした。エヌビディアの発表は、アナリストの予想を50%以上も上振れたのです。

ただし、この発表を受けて株価は高騰し、PBRは42倍まで跳ね上がっています。PBRは株価が割高か割安かを判断する指標の一つで、株価を1株当たりの純資産で割ったもの。マイクロソフトは14.7倍。アマゾンが8.5倍、アルファベットが6.1倍です。1Qが減収だったエヌビディアは、過剰とも言えるほど高く評価されているように見えます。

これほど過熱しているのは、エヌビディアがAI開発のど真ん中にいるという期待感でしょう。

AIが引き起こす幻覚の特効薬を開発

エヌビディアはPlayStationやXbox、Nintendo Switchを各メーカーと共同開発している通り、複雑な画像処理を行う装置(GPU)に強みを持っている会社です。GPUは単純な処理を同時に実行する並列処理能力を持っています。

コンピュータの頭脳には中央演算処理装置(CPU)が使われており、一般的なPCにおいては現在もこちらが主流です。CPUはコンピュータ全体を制御し、GPUは画像処理を行うという役割分担がなされていました。しかし、AIのような学習型の処理を行う場合、臨機応変な対応を行うCPUよりも、単純計算を並列で行うGPUに分があることがわかってきたのです。イメージとしては、CPUがトップダウン型、GPUがボトムアップ型です。

エヌビディアはデータセンター向けの高性能GPU「H100」を市場投入。サイバーエージェントが日本で初めて導入しました。エヌビディアはデータセンター向けのGPUで圧倒的なシェアを持っています。

エヌビディアのAI領域での強さはGPUだけではありません。AIの開発に欠かせないプラットフォームの提供も行っています。

生成AIは幻覚と呼ぶ症状を引き起こすことがあります。これは、AIが堂々ともっともらしい嘘を答えること。幻覚はChatGPTやアルファベットのBardなど、種類を問わずに起こります。例えば、Bardに「エヌビディアの業績は?」と問うと、売上高よりも営業利益が大きいデタラメな数字が、それらしい言葉を交えて返ってきます。

エヌビディアはAIの誤った情報を軽減するため、「ニーモ・ガードレール」をオープンソースで提供しました。これを利用することにより、AIチャットボットの制御機能を構築することができるのです。

AI開発に欠かせないハードとソフトの両方をサポート

エヌビディアを語る上で、プログラミングプラットフォームCUDAの存在は欠かせません。CUDAはGPUで複雑なプログラミングを行う際に必要なもので、2006年にエヌビディアが開発しました。CUDAの他にもOpenACCなどのGPU向けのプラットフォームはあります。しかし、複雑なアルゴリズムの構築や最適化を行うためには、エヌビディアのCUDAでなければ処理できません。

イーロン・マスク氏がAIへの参入を宣言し、メタ、アリババもそれに続きました。日本でもサイバーエージェント、NTT、富士通、日立などがこの分野で有力視されています。更に数多くのスタートアップが参入するのは確実でしょう。

エヌビディアはハードとソフトの両面で、AI開発に欠かせない技術を提供しています。

取材・文/不破 聡

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