容易に飲み込めて、保護者も誤飲に気付きにくい
近年、強力な磁力を持ったマグネットセットや水で膨らむボールを子どもが誤飲したことにより、開腹手術が必要となった事故が発生している。
マグネットセットを飲み込むと、複数の磁石同士が消化管壁を挟み込み、消化管壁に穴があくおそれがある。また、水で膨らむボールを飲み込むと、体液を吸収し、消化管内で大きくなることで、腸閉塞を生じる場合もありうるという。
そもそもマグネットセット及び水で膨らむボールは、いずれも個々の磁石、ボール 1 個が小さく、 容易に飲み込めてしまうことや、数百や千個といった大量のセットで販売されているため、誤飲によって個数が減ったことがわからず、保護者が誤飲に気付きにくいことが考えられる。
そこで2023年5月16日、消費生活用製品安全法関係法令の改正が閣議決定された。この改正により、マグネットセット(磁石製娯楽用品)及び水で膨らむボール(吸水性合成樹脂製玩具)が特定製品に指定され、2023年6月19日以降は、技術基準を満たしPSCマークが表示されたマグネットセット及び水で膨らむボールでなければ市場で販売ができなくなる。
しかし、規制対象化前の製品を保有している場合など、引き続き誤飲事故が発生するおそれがあることから、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、以下のとおり注意喚起を行なっている。
マグネットセット〜消化管壁越しに引き合い自然排出されなくなる
マグネットセットは強い磁力により離れた位置にあっても引きつけ合うため、胃や腸といった消化管壁越しに引き合い、壁を挟んで引っ付いて自然排出されなくなる。
それによって挟まれた消化管壁の血流が滞り、壊死することで消化管壁に穿孔(穴があくこと)が生じるおそれ等が指摘されている。
マグネットセットの誤飲により消化管壁を挟んで引き合うイメージ
マグネットセット誤飲患者のレントゲン写真 出展:日本小児科学会「Injury Alert(傷害速報)」
水で膨らむボール〜胃液や腸液等の体液を吸収して消化管内で膨潤
水で膨らむボールを飲み込むと胃液や腸液等の体液を吸収し、消化管内で膨潤する。狭い 消化管内で詰まった場合には、自然排出されにくく、腸閉塞を生じるおそれがある。
水で膨らむボールの誤飲により消化管内で膨張するイメージ