自分はどの申告方法が向いている?
1株単位など少額で売買している場合には利益は20万円以下になる可能性が高いため、特定口座源泉徴収なしでも良いだろう。ただし、20万円を超えた馬合には自分で確定申告しなければならないため、それが面倒な場合は特定口座源泉徴収ありが向いている。1年超の長期での運用ならNISA口座がおすすめだ。利益は全て非課税になる。年間120万円を超える投資をする場合には短期で売買する株式については特定口座源泉徴収ありにして、長期で保有予定の株式はNISA口座にするなど使い分けするのもおすすめだ。特定口座源泉徴収ありにしても、確定申告すれば他の証券会社の損益と相殺したり、損失を3年間繰越控除したりすることができる。
確定申告ルール
株式に係る損益を確定申告すると以下のような特典がある。
①他の証券会社の株式の損益と相殺できる。
②損失を相殺しきれないときに以後3年間繰越控除できる
③配当所得を総合課税にすると配当控除が使える
配当所得は、配当所得の原則10%を所得税から、2.8%を住民税から税額控除できる制度だ。この制度は総合課税を選択しないと使えない。
基本的に株式の利益は他の所得と分離して計算する分離課税で、他の所得と分離して出した利益に対して20%(所得税15%住民税5%)がかかる。総合課税とは、他の所得と総合して計算する方法で、株式の配当だけは総合課税を選択することができる。総合課税にすると配当控除で税金を減らすことができるが、税率は給与所得などの総合課税で適用される税率と同じになってしまうため、所得税なら最高税率45%、住民税なら10%と、もともとの20%より高くなってしまい逆に配当控除のために総合課税にするべきではなかったとなることもある。また、課税総所得金額等(所得控除後の給与所得等の金額の合計額)が1,000万円を超えるときは配当控除の率は上記の控除率の1/2になってしまう。
そのため、所得が高い人は総合課税しないで分離課税のままで申告した方が賢明だ。配当控除を受けると得する目安は課税所得金額が900万円以下(所得税率20%)とされている。課税所得金額は、給与所得のみの方なら給与所得控除後の金額+配当金の金額から所得控除額の合計額を控除した金額となる。
申告には以下のルールがある。
①株式の売却益(譲渡所得)、配当所得は原則他の所得と相殺できない。
②株式の譲渡所得には、外国株式、投資信託、ETF、債券などの売却(満期償還)も含まれる。
③所得には一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)が課税される。どんなに利益が多くても税率は変わらない。
特定口座源泉徴収あり口座やNISA口座なら確定申告する必要はないが、他の証券会社での所得との相殺、繰越、配当控除を受けるときには確定申告をする必要がある。
文/大堀貴子