青春小説から凄惨な事件ルポまで。時代を反映した作品たち
寺田剛治
DIY、アウトドア、ホビーなどを担当。選書を見ればわかるように乱読派で、ジャケ買い、帯買いするパターンがほとんど。時代小説に手をつけないのは、老後の楽しみだから。
ホラーと思って覚悟したのにミステリー展開に、と思ったら……
踏切の幽霊
著/高野和明 文藝春秋 1870円
書店に並んだのは12月。真冬にホラー!? と思いながら手に取った作品。舞台は今はなき下北沢の踏切。ここに現われる幽霊の正体を探る物語なのだが、ホラーと思って覚悟したのにミステリー展開に。と思ったら、またホラー。「どっちどっち!」感覚がおもしろい。
キュンの敷居が低く、おじさんが希望を抱いてしまうかも?
キュンとしちゃだめですか?
著/益田ミリ 文藝春秋 605円
著者が男にキュンとする瞬間や姿をエッセイ&1コママンガでつづっているのだが、とにかくキュンの敷居が低いのだ。ストローを使わず直飲み、ティーバッグを入れたまま茶を飲むなどなど。俺もキュンとされているかも? とおじさんが希望を抱いてしまう罪な本。
愛犬家で知られる著者の愛情があふれ、犬と暮らしたくなる
少年と犬
著/馳 星周 文藝春秋 1760円
東日本大震災で飼い主と別離した犬が、泥棒→壊れかけの夫婦→娼婦→老人→心を閉ざす少年らと出会いと別れを繰り返す物語。愛犬家で知られる著者の愛情と尊敬があふれており、犬と暮らしたくなる。奇しくも、読了後に我が家にワンコを迎えたのは偶然か!?
20年にわたって事件を追った作者が描く犯罪ドキュメント
完全ドキュメント 北九州監禁連続殺人事件
著/小野一光 文藝春秋 2420円
洗脳し、家族同士で殺し合いをさせる。あまりの凄惨さにメディア規制された事件を警察の発表、記事、裁判記録などを通して、その真相に迫る。著者の分析は抑えて、事実だけを突きつける。それがこの事件が現実に起きたものと再認識させる。本当に恐ろしい。
ラストのリレーシーンは「がんばれ!」と応援するほど没入
一瞬の風になれ
著/佐藤多佳子 講談社 全3巻 660円ほか
好きな青春小説No.1。高校陸上部の話なのだが、ラストのリレー走シーンでは、読みながら「がんばれ!」と応援するほど没入し、自分が走ったかのように鼓動が速くなった。あまりの感動に読了直後に3度読み直し、3度とも泣いた。思い出したら、また泣けてきた。
文/編集部
メンタルが不調気味の人におすすめ!話題のVTuber・犯罪学教室のかなえ先生の最新刊「人生がクソゲーだと思ったら読む本」

第1章 学校・受験の悩み
●学歴社会では才能よりも「親の資金力」が重要なの?
●スポーツ推薦なら頭の悪い人でも高学歴になれるってどうなの?
●いじめられたくないから、不登校。これで人生が詰みなんて理不尽だよ。
●校則に従わないと内申点が下がるのはなぜ? 勉強で評価してよ!
【コラム】初めて 人生がクソゲーだと感じた「不登校児になった小学校時代」の話
担当編集が読んだ感想:主に学生さんのお悩みを中心に解答したこの章。「前向きに考えたほうがいいよ」と寄り添うシーンもあれば「それはアナタ自身のバグです」とばっさり切り捨てる場面も。「それ、アナタの感想ですよね?」と答える様子は、ひ○ゆき氏を彷彿させた。
第2章 仕事・会社の悩み
●なぜ採用には「学歴フィルター」がある? もっと学生の内面を見てほしい!
●誠実な人ほど損をしがちな嘘つきだらけの就活が許せない!
●頑張ることが当たり前……。自分の成長よりも社会の進歩が早すぎて息苦しい。
●パワハラ・セクハラするクソ上司エンカウント時の対応求ム!
●働けない人は生きる価値がないのか? 病んでる自分が嫌になる。
【コラム】 国家公務員からニートへ……クソゲーセカンドステージが始まった話
担当編集が読んだ感想:相談者さんの悩みに対し、具体的な対処法が多く出てくるパートです。特に就活を控えているor就活中の大学生は必読な内容が盛りだくさん……ですが、あまりにズバッと切り込んでくるので、読んでも凹まないでくださいね。
第3章 SNS・ネットの悩み
●なんでみんなデマや陰謀論に巻き込まれるのか?
●フォロワーが多い方が偉いみたいな風潮がツラい。
●成功者が可視化されていき、自分の立ち位置を突きつけられる。
●晒しや暴露が英雄視されちゃう最近の風潮、ヤバくない?
【コラム】ネット活動者になってクソゲーを楽しめるようになった話
担当編集が読んだ感想:スマホの普及によりインターネットを通じて世界中のことを一瞬で知ることができるようになりました。でも、便利になったはずなのに息苦しさを感じませんか? このパートでは現代人、主に社会人が抱えることの多い悩みに答えています。なお、この中のひとつは担当編集の個人的な悩みです。
第4章 友人・恋人の悩み
●私にだけ友人ができないのはバグ? どうしたらできる?
●外見が良いだけで性格が悪い人が評価されるのが許せない。
●俺がモテないのはバグ? 足りないのはどんなスキル?
●人間関係に疲れやすいのは私だけ? ただのスキル不足?
【コラム】他人に期待しないから傷つかないし、負けることも悔しくないという話
担当編集が読んだ感想:笑って読み飛ばせる内容が多いこのパート。「俺が持てないのはバグ?」の項目にて、怒涛の質問に気圧されるかなえ先生の様子は、普段の配信では見られない姿かもしれません(笑)。
第5章 生まれの悩み
●「親ガチャ」に成功していれば大学に行けて、もっと幸せだったんじゃないか?
●結婚しないと親からネチネチ小言をいわれて腹が立つ
●性的少数者であることを親が受け入れてくれない。
●発達障害を持たせて産んだ親を今でも恨んでいる。