愛玩動物看護師とは?
愛玩動物看護師法によって、今後、動物の看護師を名乗るには国家資格が必要になった。3月に発表された第1回国家試験の合格者1万8481名が、今後、動物病院などで活躍する。
国家資格により、採血、投薬、マイクロチップの挿入、カテーテルによる採尿など、これまで獣医師しか行なえなかった診療補助行為が可能だ。ひびき動物病院院長の岡田響獣医師は「看護師のサポートで、診断や治療に専念できる結果、質の高い医療が提供できるようになる」と評価している。
往診専門動物病院「わんにゃん保健室」の佐々木優斗看護師長は同資格制度について「ペットも人間と同じ家族であるという意識が浸透し、より高い獣医療が求められるようになった結果でしょう」と分析。「公的な資格として認められるのは喜ばしいこと。新たな獣医療サービスの拡大へと発展できそう」と期待している。
一方で課題も多い。特に人件費高騰による診療費への影響は、飼い主にとって切実な問題だ。ペットの場合には人間のような保険制度がないので、治療費が払えず、遺棄される恐れもある。今後、制度がどう変わっていくか、飼い主たちは見守る必要があるだろう。
飼い主にとっては高い獣医療サービスが期待できると同時に、国家資格化によって獣医療へ就業するハードルが高まる。専門学校や大学による生徒の争奪戦が始まりそう。
幅広い業務に携わり獣医師をサポート
資格合格者は獣医師の指示のもと、輸液剤の注射、採血、マイクロチップの挿入などを行なえる。一方、診断、X線撮影における放射線の照射などは、動物の身体への影響が大きいので業務の対象外。入院動物の世話や診断を伴わない検査は看護師資格がなくてもいい。
〝愛玩動物〟には様々な鳥類も含まれる
国家試験の出題はイヌ・ネコが中心。獣医師法第17条に規定する飼育動物に含まれないウサギとカメは愛玩動物には入らず、鳥類は入っているという不思議な扱いに。
取材・文/柿川鮎子