履歴書などの書類を記入する際など、性別を「男/女」から示すのが当たり前になっている。だが性別を示す必要は必ずしもないのはもちろん、男女を必要以上に示しすぎることで性別役割分業をさらに進めることにもつながりかねない。例えば「女子アナ」「女医」「女社長」という言葉が存在するのに「男子アナ」「男医」「男社長」と言われないのはなぜなのか? 中でも大人であるはずの女性アナウンサーが「女子」と言われるのは、一段低く見る表現といえる。また同時に容姿が注目され、性的欲望の対象と見なされることすら許容されてきた面も否定できないだろう。一方男性でも〝男は強いもの〟という固定概念をもとに、強くたくましい様子を「男らしい」などと表現される。しかしこれも男らしさの押し付けになっているともいえる。
トイレの表示を男性は青、女性は赤と、色分けする意味はある?
一般的なトレ表示は、トランスジェダーを排除しているという議論もある。渋谷区の公衆トイレが女性用をなくし、共用化したことで議論されたのも記憶に新しい。
サッカーW杯敗戦時にも使われた「男泣き」という表現
男性のスポーツ選手などが試合で涙すると、メディアでは「男泣き」と表現。本来男は強くて泣かないものというステレオタイプな考えが潜んでいる。
気をつけたいジェンダー表現
男泣き、男気あふれる →「涙を見せる」「情熱がある」「堂々と」「勇気ある」。
女子高生、女子アナ、女社長、女医 →「高校生」「アナウンサー」「社長」「医師」。
「〜よ」「〜だわ」→ 会話における実際に使っている言葉で表現する。
「ママさん選手」「ママさん議員」→ 子供を育てながら活動している選手、議員など。
奥さん、家内 → 妻、つれあい、パートナー。
主人、亭主、旦那 → 夫、つれあい、パートナー。
取材・文/高山 惠 写真/ロイター/アフロ