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「ご主人」「奥さん」「女子力」もNG!?ビジネスパーソンなら知らなかったではすまされないジェンダー表現

2023.05.24PR

「女子アナ」「ご父兄の皆様」「ご主人」「奥さん」「女子力」など、日常で当たり前のように使われているこれらの言葉は、ジェンダー表現に該当するという。なぜ使わないほうがいいのか? その背景を知ると、意識も変わるはずだ。

『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』

失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック1650円(小学館)


メディアにおける「女子アナ」「美しすぎる〇〇」といった表現は、果たしてOKなのか? その作り手の一旦を担う現役新聞記者たちが、自省の念を込めて制作。ジェンダー表現のリテラシーを高める手引き書となっている。

中塚久美子さん新聞労連 前特別中央執行委員
中塚久美子さん
労連役員のうち女性が3割超になるのを目指す特別中央執行委員(2021〜22年)を務めた。約20人で執筆したガイドブックのまとめ役。普段は朝日新聞記者。

デジタル記事の見出しが出版のきっかけに

「ジェンダー平等の実現」が世界的な取り組みとなって久しいが、国ごとの男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」を見るまでもなく、日本の取り組みは先進国の中でかなり遅れている。それは問題提起する役割を担うはずのメディアもまた同様。「美しすぎる〇〇」といったルッキズム的な表現や「ノーバン始球式」といった性的なものを連想させる見出しを自ら発信しているのが現状だ。

 この現状に疑問を呈し、行動を起こしたのが、全国にある新聞社の労働組合が加盟する「日本新聞労働組合連合(通称・新聞労連)」の役員たち。昨年3月、自省の念を込めた〝気づきの書〟として、『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』を出版した。

「きっかけは新聞労連の女性役員から『デジタル記事の性的なものを連想させる見出しを直してほしいと担当者に訴えたけれど、聞き入れてもらえなかった』という話があったこと。この訴えに役員の仲間たちが大きく共感しました。社内でこの訴えが響かないのであれば、全体で示せる指針を自らつくり、社外から響かせようと」

 出版のきっかけについてこう語るのは、この本を執筆した新聞労連の特別中央執行委員のひとりである中塚久美子さん。当初は記者向けのハンドブックのつもりだったが、今の時代はSNSや動画配信などで誰でも情報発信者となる。

 一般の人も手に取ることを考えて制作した結果、メディア以外の様々な職種や立場の人から大きな反響があった。

「ビジネスパーソンの方々からは、自分もいつの間にかいろいろやらかしているんだな、と気がついたといった声が多く届きました。ランチに弁当を作って持ってくる女性に、『女子力高いね』と表現する一方で、男性が同じことをすると『料理が上手ですね』とほめる。性別によって、あるべき姿を無意識に決めつけてしまっている表現が、社会のあらゆる場面に存在していますよね」

 例えば、学校で配布されるプリントの「父兄の皆様へ」という言葉もそうだ。

「保護者の意味で使ったとしても、年長の男性が家族を支配する家父長制を連想させる言葉です。ジェンダー平等の視点からはもちろん、多様な家族の形がある実態を踏まえることが重要なのかと。言葉狩りではなく、立ち止まって考える。試行錯誤しながら、よりよい表現を生み出していければいいと思います」

 日常何げなく使っているあらゆる言葉がジェンダー表現として問題提起されている。なぜその言葉が引っかかるのか? まずはその背景を探ってみたい。

「ジェンダー・ギャップ指数2022」で日本は146か国中116位

「ジェンダー・ギャップ指数2022」で日本は146か国中116位

「経済」「教育」「健康」「政治」の分野のデータから作成されているが、中でも著しく低いのが政治。2022年7月の参議院選挙における当選者の女性割合は28%。これでも過去最高だというが、いまだ男性主導なのは間違いない。
※世界経済フォーラム「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書(2022)」より作成

 近年、企業や自治体によるプロモーションやSNSの内容がジェンダーに関する偏見があるとして、炎上が増えている。中でも「性的差別ではないか?」と論議を呼んだのが、2017年にファミリーマートから発売されたプライベートブランド「お母さん食堂」だ。

「発売後は外からの批判がありましたが、実はファミリーマートの社内からも同時に『この表現引っかかりませんか?』という声があがっていたそうです。日本全体でジェンダー意識の波が動き出した、象徴的な出来事だと思います」

「お母さん食堂」というネーミングは、料理をするのは母親という「性別役割分業」に該当。だがこれが問題視されるまでは、そういったネーミングが当たり前のように使われていた。

「これって男女平等の点からおかしいんじゃないか、と問題提起する声が最近ようやく社会で真剣に受け止められ、議論されるようになったと言えるのではないでしょうか。日本語には、主人や旦那といった男女が対等でない呼び方がまだあります。こうした言葉が日常的にメディアに登場することが、私たちの考え方に影響を与えていることに気づいてほしいです」

 三重県志摩市では海女をモチーフにした萌えキャラ「碧志摩メグ」が公認キャラとしてPR活動をしていた。作成当初から太ももや胸を強調する描写が公的な場所にふさわしくないとして批判を集め、公認の撤回に至った。

「作品として表現するのは個人の自由です。鑑賞することも個々人で選べます。問題は公的機関や社会的な存在でもある企業が、啓発や宣伝に利用することの是非です。アーティストや作品自体を問うているわけではないのです」

 その一方で、公的機関が性的少数者(LGBTなど)に配慮するために申請書類の性別欄を削除したり、男女選択肢に「その他」などの項目を加えたりする動きも広がっている。ただ「逆に差別につながるのでは?」との意見もあり、手探り状態がうかがえる。

「彼氏・彼女いるの?という言葉も考えもの。異性愛を前提としているからです。私的領域について聞くとしても、『お付き合いしている方』程度にとどめる。無理やり聞き出すのはもってのほか。知らず知らずのうちに使っていた言葉を周りの人と話して考えてみるなど、前向きにとらえる流れも感じています」

取材・文/高山 惠

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