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「芸術は動的でなくてはならない」画家アンリ・マティスの色彩が境地に到達した瞬間

2023.05.16

20世紀の美術界において、特に現代美術に大きく貢献した画家 アンリ・マティス(1869-1954)。

現在、日本では約20年ぶりとなる大回顧展が東京都美術館で開催されています。

大胆な色使いが特徴的なフォービスム(野獣派)のリーダーとして知られ、線の単純化と色彩を鈍化させた表現の探究は、モダン・アートの歴史に大きな影響を与えています。

そこで今回は、マティスの生涯と作品について考察していきたいと思います。

アンリ・マティスの生い立ちと絵を描き始めたキッカケ

1869年12月31日の大晦日、フランス北部の町ル・カトーで、裕福な穀物商の長男としてマティスは生まれました。意外にも絵を描き始めたのは遅く、マティスが21歳の頃、虫垂炎の療養中に時間をもてましていた所、母親から暇つぶしに勧められたことがキッカケです。

しかし、それが画家マティスの人生を大きく突き動かすことになります。

後にマティスは「病床で絵を描いていたとき、天国のようなものを発見した」と語るほど大きな転換点となったのです。

その後の1891年、マティス23歳のときにパリの美術アカデミーへ入学し、象徴主義の画家ギュスターブ・モローの下で絵画を本格的に勉強することになります。

こうしてマティスは徐々に芸術の才能が開花し始めるのです。

次にマティス作品の変遷について見ていきます。

マティス作品の変遷

【印象派の影響】

1903~4年頃のマティスの修行時代の作品には印象派の影響を強く感じられます。

たとえば「カルメリーナ」(1903年)という作品にはセザンヌのような技法が集約されており、この絵画作品はマティス作品のモチーフとしてよく登場する「鏡」「ドア」「絵画」などが配置されています。

また「日傘の女」(1905年)という作品には新印象派のシニャックによる点描の手法を取り入れていることに加えて、風景のモチーフに「楽園」を描くことがマティス作品の大きなテーマとなっていくのです。

【フォービスムの時代】

“まるで野獣(フォーヴ)の檻の中にいるようだ”

フォービスムは「感覚」を重視した表現であり、それまでの色彩やデッサンの構図に従う西洋絵画の伝統から離れ、心が感じる色彩を描いており、マティスはこの絵画運動の中心人物でした。

フォービスム時代の代表作が「緑のすじのあるマティス夫人の肖像」(1905年)です。

左右の顔の色がハッキリと異なり、背後の色彩と呼応するように計算して色彩を配置した作品です。また何よりも非現実的な色彩で顔を描いたことそのものが、それまでの絵画の歴史のなかで画期的であると同時に、人間の顔と背景の両方を主題として扱っていたことが分かります。

また「コリウール窓」(1905年)という作品では、窓の内側はフォービスム、窓の外は印象派のような景色が広がっています。これこそ、19世紀後半に興った印象派の眼にみえる世界と20世紀初頭に興ったフォービスムの色彩自体に表現があるものと考えて内的感覚を純粋色で並置した世界、この2つが混じり合うマティスの特徴を良く表した作品といえるでしょう。

【楽園への憧れ】

マティスの生涯のテーマでありインスピレーションの源泉となったモチーフ、それが「楽園への憧れ」です。この楽園を主題に描いた初期作品の傑作が「生きる喜び」(1906年)です。色彩と歪んだ空間表現、この作品を見たピカソはとてつもない衝撃を受けており「自分の作品が二番煎じのように感じられた」と語っています。その一方、シニャックは「絵の具屋のショーウィンドウのようだ」と批判しており、当時、いかに賛否両論を生み出す新しい作品だったのかを感じるエピソードです。

【赤の表現】

マティスの装飾芸術の傑作が「赤のハーモニー(食卓)」(1908年)です。

食卓と背景の壁が同じ赤で描かれていることに加えて、左上の四角が窓なのか絵を掛けてあるのか分からない、まさに「絵画とは二次元の平面である」ことをマティスが鮮やかに表現した、新たな境地を見せた作品です。

そしてマティスの装飾性にも注目です。花瓶の枝がアラベスクのようにも感じられるように、装飾が放つエネルギーは多くの芸術家を触発しています。

その後に発表した「赤いアトリエ」(1911年)の作品のなかで、8枚の絵が描かれていますが、それぞれが現実世界とは異なるリズムと秩序で配置されており、モノに影もありません。この作品ではアトリエの「赤色」そのものが描かれており、のちに画家マーク・ロスコはニューヨーク近代美術館でこの作品を見て涙を流しています。

色自体が放つ表現力に加えて、より単純化させることで、強い表現と色彩の調和を目指したマティスの色彩が境地に到達した瞬間ともいえるでしょう。

【動的な表現】

「芸術は動的でなくてはならない」

このような考えに至ったマティスは、映画のような動的な表現や時間を絵画表現にも取り入れるようになります。たとえば「ダンス(第1作)」(1909年)では、それまでに描いてきた遠近法や立体感から解放され、丘の緑、空の青、人物の肌色、それぞれの色彩がぶつかり躍動しているように感じられます。さらに「ダンス(第2作)」(1910年)では、「赤」「青」「緑」の三原色を用いて描かれているのに加えて、踊り手同士の激しい動きが隣の踊り手へと伝わるように描かれています。こうした表現と対照的な作品が「音楽」(1910年)です。丘の緑、空の青、人物の赤、という強烈な色彩の配置の一方、静かで神話的にも感じる絵画表現は「ダンス」とは大きく異なる特徴を持つ作品です。

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