ラディウスは、ICレコーダーなどの録音機器に接続することで手軽にバイノーラル録音を楽しむことができるイヤホン型マイク、「RM-ATZ19」を2023年5月中旬より発売を開始する。
希望小売価格はオープン価格。予想実勢価格は約2万5500円(税込)。
手持ちの録音機器に接続するだけでバイノーラル録音が可能
左右のイヤホン筐体に内蔵された高性能マイクにより、高品質なバイノーラル録音が可能なイヤホン型マイクの登場だ。
一般的に、バイノーラル録音では人の頭部や耳の形状を模したダミーヘッドなどの特殊なマイクが用いられる。これに対してRM-ATZ19は、さまざまなイヤホン製品の開発で培ったノウハウを活用。まるでリスニングイヤホン製品のような、安定した装着感とコンパクトなデザインを実現した。
しかも手持ちの録音機器に接続するだけで、ロケーションに左右されず気軽にバイノーラル録音が可能なため、これからライブ配信や、アウトドア・ASMRなどの動画制作を始めたいという人にも最適だ。
ハイレゾ録音にも対応
RM-ATZ19はマイク製品として日本オーディオ協会のハイレゾマークを取得。30Hz~40,000Hzの広帯域を収音可能で、より再現性が高く臨場感あふれるバイノーラル音声のハイレゾ録音に対応している。
※録音機器がハイレゾ録音に対応している必要がある。
様々な「聴こえ方」の再現が可能
RM-ATZ19は録音方法によって様々な「聴こえ方」を再現することができる。
例えば楽器演奏を録音する場合、奏者がRM-ATZ19を装着することで演奏中の奏者自身の聴こえ方が再現された音声(主観的な音声)の録音が、演奏の聞き手がRM-ATZ19を装着することで演奏中の聞き手の聴こえ方が再現された音声(客観的な音声)の録音が可能だ。
個人で客観的な音声の録音を行う場合は、人の頭部形状を模したマネキンなどの耳にRM-ATZ19を固定することで、簡易的に客観的音声のバイノーラル録音の再現に対応する。
主な使用方法
プリモ社製小型エレクトレットコンデンサマイクロホンを搭載
ステージ用のボーカルマイクや放送局・スタジオ用の集音マイクといった様々な分野で高性能のマイク関連製品を提供する、プリモ社製の小型エレクトレットコンデンサマイクロホンを搭載。
極めてフラットな周波数特性と高い感度により、低域から高域まで繊細かつ表現力豊かな録音が可能になった。
エレクトレットコンデンサマイクロホンのイメージ
バイノーラル音声の聴取に最適な「FLW構造ドライバー」
録音中のモニターやICレコーダーに収録した音声の高品位な聴取を可能にする「FLW(Floating Lead Wire)構造ドライバー」を搭載した。
このボイスコイルのリード線を振動板に干渉することなくPCBに接続する「空中配線」により、ダイナミックドライバーで起こりうる振動板への偏った負荷を軽減。全帯域にわたってノイズが少なくクリアな出音が特徴だ。
さらに楽曲リスニングイヤホン用のドライバーをベースに、バイノーラル音声の聴取や分析に特化したモニター向けのチューニングが施されている。
FLW構造ドライバーのイメージ
ケーブルにストレスを与えない「45°プラグモールド」
ケーブルの取り回しの際にストレスが加わりやすいプラグモールド部には、一般的なI型とL型の中間にあたる45度形状を採用した。
イヤホン用のジャックとマイク用のジャックの搭載位置は、録音機器によって異なっているが、RM-ATZ19は機器のさまざまな接続位置や使用環境に柔軟に対応。断線の原因となるケーブルへのストレスを軽減する。
RM-ATZ19の主な製品仕様
<マイク仕様>
指向性/無指向性
マイク感度/-43dB
録音周波数特性/30Hz~40,000Hz
インピーダンス/1.1kΩ
最大入力音圧/127dB
S/N比/70dB
動作電圧/2.0V~5.5V
消費電流/110μA Max
<イヤホン仕様>
型式/ダイナミック型
ドライバー/φ12.5mm
出力音圧レベル/116±3dB
再生周波数特性/10Hz~20,000Hz
インピーダンス/16Ω±15%
最大入力/100mW
<共通仕様>
プラグ/Φ3.5mm 金メッキステレオミニプラグ×2(マイク、イヤホン)
ケーブル長さ/約110cm
質量/約19g(ケーブル含む)
付属品/ディープマウントイヤピース(XS、S、M、L)、モニター用イヤピース(XS、S、M、L)、ウィンドスクリーン、収納ポーチ、取扱説明書(保証書)
バイノーラルについて
バイノーラル(binaural)とは「両耳の」、モノラル(monaural)とは「片耳の」という意味がある。
広義には、録音された2チャンネルの音声をステレオ音声、1チャンネルの音声をモノラル音声というが、通常のステレオ録音された音声やモノラル録音された音声をイヤホンで再生すると、音像は頭内定位する(頭の中で音声が鳴っているように感じる)。
一方、ステレオ音声の一種であるバイノーラル音声は、再生される音像が頭外定位(頭の外で音声が鳴っているように感じる)して、まるで実際にその場にいるかのような、よりリアリティあふれた感覚が得られるという特徴がある。
それは、バイノーラル録音された音声には、耳まで直接届く音声の他に頭部の形状や質感などによる音響的な影響の情報が含まれているからだ。
人が実際に音声を聴取する際、左右の耳の間には障害物となる鼻や頬が存在し、音源から左右の耳に届く音波は同じにはならない。バイノーラル録音された音声はその違いをリアルに再現することができるのだ。
※頭部による音響的な影響には個人差があり、聞き手が同じ感覚を得られない場合があります。
関連情報
https://www.radius.co.jp/products/rm-atz19/
構成/清水眞希