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オープンイノベーションでさらに加速!へその緒やAI動画の解析で人々を救う医療系スタートアップへの期待

2023.05.05

国内では着々と、スタートアップが成功する環境が整いつつある。いま、注目されているのが、大企業との「オープンイノベーション」だ。

今回は、注目のオープンイノベーションを実践するスタートアップを2社取り上げて紹介する。その創業の思いとともに、オープンイノベーションのメリットを探った。

東京都がスタートアップ関連事業の予算に286億円を用意

先日2023年2月27日と28日に、東京都主催のイベント「City-Tech.Tokyo」が開催された。スタートアップとのオープンイノベーションを通じて、持続可能な都市を実現するための、世界最大規模のシティテックイベントとの位置付けだ。

東京都「City-Tech.Tokyo」プレスリリースより

初日には東京都知事の小池百合子氏より次のようなスピーチが披露された。

「東京の強みを生かし、ビジネスの挑戦者であるスタートアップを支え、ともに社会課題を解決していきたい。その思いで東京都は、昨年11月にスタートアップ戦略『Global Innovation with STARTUPS』を策定しました。これから東京都は、オール都庁で、国とも連携して、異次元のスタートアップ戦略を展開します。

東京都は本気です。そのための予算も大胆に措置します。スタートアップ関連事業の予算として、今年は286億円(約2億ドル)を用意しました。これは昨年のおよそ1.5倍。今後5年間で10億ドルの規模を超えるような支援をしていきます」

今後、日本全国にまでその波が波及し、活性化していく可能性がある。今回紹介する2社は、City-Tech.Tokyoに参加したスタートアップだ。どちらもオープンイノベーションを活用している。

1)臍帯(さいたい:へその緒)を活用した細胞治療の研究開発

一社目は、2017年創業の創薬バイオベンチャー、ヒューマンライフコード株式会社だ。

同社は人の臍帯(へその緒)を活用した細胞治療の研究開発を進めている。国内では出産時に処分されるのが一般的だが、製薬産業では利用価値が見込まれている。難病治療薬としての活用や、将来的にはサルコペニアなどエイジングケア領域での活用など多様な可能性が期待されている。同社はその臍帯について、製薬原料としての活用を積極的に進めている。

代表取締役社長兼CEOの原田雅充氏は「細胞治療を社会実装する上で念頭にあったのは、持続的発展性(サステナビリティ)を有するビジネスモデルであるかどうか」と創業当時を振り返る。

「持続可能にするためには、細胞医療の原材料となるソースを安定調達する必要があります。誰かを救うために誰かを傷つける(=侵襲性の高い)、現行で主流となっている骨髄を主体とした細胞医療では、ソースの確保を海外からの輸入に依存しており、民間ビジネスとしては広がりに欠けます。そこでお産後に処分されてしまっていた臍帯組織に注目。以前携わっていた東京大学医科学研究所の臍帯血・臍帯バンクの施設長、長村登紀子先生と再会し、研究開発に着手しました。

当社の理念は『つなぐ命のきずなつながる未来』。母子をつないでいた最も強いきずなである臍帯から紡がれる命のきずなをつないでいきたいと決意しました」

臍帯組織の利点は、次の2点にあるという。

1.ドナー(母子)に対して無侵襲(本人の身体を傷つけない)で採取でき、国内調達可能。
2.凍結保存により臍帯組織ごと半永久的に備蓄可能。

「国内で原材料を確保でき、必要なときに必要な量を国内生産できることはサプライチェーンの強靭化にもつながる社会的価値を生み出せると考えています。さらに、臍帯組織由来の細胞は骨髄など成人組織由来の細胞に比べ、細胞の増殖能力が極めて高いため、製品生産力を高めやすく、採算性の得られやすいビジネス展開が可能です。さらに社会的課題の解決につなげられます」

●オープンイノベーションへの思い

「第5回日本オープンイノベーション大賞2023」受賞式の様子

2023年のはじめには、内閣府による第5回日本オープンイノベーション大賞2023「厚生労働大臣賞」を受賞。

東京大学医科学研究所臍帯血・臍帯バンク、ロート製薬株式会社、アルフレッサ株式会社との連携を通じて、国産の臍帯組織を原材料の調達から細胞医薬品の製造・流通物流に至るまでのサプライチェーン構築をオープンイノベーティブに取り組んできた。

その結果、細胞医療産業のエコシステムと、世界的にも治療手段がない希少難治性疾患への貢献が期待される取り組みが評価された。

同社がオープンイノベーションを積極的に利用する理由とは?

「当社は創業時から『バーチャルファーマモデル』を経営戦略の主軸に据えていました。医薬品開発受託機関(CRO)や製造業務受託機関(CMO)など外部の力を活用する製薬企業の形です。外部の力を活用することで社内の人数を最小限に抑えて意思決定のスピードを上げ、研究所や工場など固定費を抱えるリスクを最小化して利益を最大化するのが狙いです」

今後の展望について、原田氏は次のように語った。

「今後は、グローバル戦略に基づいた臍帯由来間葉系細胞のプラットフォームを構築し、本事業活動を通して、この新たな細胞治療を必要とする一人でも多くの患者さんの生きる希望へつないでまいります」

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