M&Aを基軸とする経済情報サイト「M&A Online」はこのほど、上場企業に義務付けられている適時開示情報のうち経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について集計した結果を発表した。
年間1,000件の大台乗せも
2023年は1月に93件と前年を29件上回るロケットスタートを見せた。2月(77件)は前年を割り込んだが、3月は105件まで件数が積み上がった。この結果、2022年第2四半期(4~6月)以来、4四半期連続のプラスとなった。
1~3月の総件数275件の内訳は日本企業同士の国内案件221件(前年204件)、国境をまたぐ海外案件54件(同33件)。このうち、海外案件は年初から増勢が続き、コロナ前の2019年1~3月の45件を上回った。海外子会社・事業を中心に日本企業による売却案件の広がりが件数を押し上げた。
前年の年間件数は949件とリーマンショック後の最多を2年連続で記録したが、現状のペースでいくと、今年は年間1,000件の大台乗せが見込まれる。
歴代5番目、東芝TOB以外は小型化
一方、取引金額は1月が1,300億円、2月が2,890億円。3月は東芝の案件を除くと1,650億円ほどで、件数の割に金額が伸びていない。
1~3月中、取引金額が1,000億円を超える巨額案件は2件にとどまった。東芝以外に、ENEOSホールディングスによる1,200億円超の大型売却があるだけで、5件を数えた前年に比べると見劣りした。
今回の東芝案件は日本企業のM&Aとして歴代5位となる。東芝は2017年に半導体子会社の東芝メモリ(現キオクシア)を2兆円で売却しており、これに並ぶ。
ちなみに、歴代1位は武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアーの6.2兆円での買収だ。2位にソフトバンクグループ(英アーム、3.3兆円)、3位にJT(同英ギャラハー、2.25兆円)、4位にセブン&アイ・ホールディングス(同米スピードウェイ、2.2兆円)と続く(いずれも日本企業が買収した案件)。
構成/こじへい