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離婚前に別居していた時に支払う婚姻費用の計算方法

2023.05.04

3. 婚姻費用算定表について

離婚時に精算すべき婚姻費用の金額を簡易的に求めるには、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」を利用するのが便利です。

婚姻費用算定表は、子どもの有無・人数・年齢に応じた10種類の表(表10~表19)から成り立っています。夫婦双方の年収を縦軸と横軸に当てはめると、大まかな婚姻費用の金額を求めることができます。


(例)
・子ども(10歳)が1人いる夫婦が離婚する
・夫の年収は500万円(給与)
・妻の年収は400万円(給与)
・別居期間中に子どもと同居していたのは妻

→「(表11)婚姻費用・子1人表(子0~14歳)」を用います。

縦軸(義務者)を給与所得500万円、横軸(権利者)を給与所得400万円として交差点を確認すると、「4~6万円」の半ばあたりです。

したがって、夫が妻に支払うべき婚姻費用は、月5万円前後であることがわかります。


参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所

4. 婚姻費用の詳しい計算方法

1円単位で正確に婚姻費用を計算したい場合は、以下の手順で計算します。

①義務者と権利者の基礎収入を求める
②権利者世帯が得るべき婚姻費用額を計算する
③権利者の基礎収入との差額を精算する

4-1. 義務者と権利者の基礎収入を求める

「基礎収入」とは、総収入から婚姻費用に充てるべきでない金額(公租公課・就労のための費用・住居関係費など)を控除したものです。

基礎収入=義務者の総収入×基礎収入割合

<給与所得者>

総収入額

(=源泉徴収票の支払金額)

基礎収入割合

0~75万円

54%

100万円

50%

125万円

46%

175万円

44%

275万円

43%

525万円

42%

725万円

41%

1,325万円

40%

1,475万円

39%

2,000万円

38%

<自営業者>

総収入額

(=確定申告時の課税所得金額)

基礎収入割合

0~66万円

61%

82万円

60%

98万円

59%

256万円

58%

349万円

57%

392万円

56%

496万円

55%

563万円

54%

784万円

53%

942万円

52%

1,046万円

51%

1,179万円

50%

1,482万円

49%

1,567万円

48%


(例)
・子ども(10歳)が1人いる夫婦が離婚する
・夫の年収は500万円(給与)
・妻の年収は400万円(給与)
・別居期間中に子どもと同居していたのは妻

→義務者(夫)の基礎収入は210万円(=500万円×42%)、権利者(妻)の基礎収入は168万円(=400万円×42%)


4-2. 権利者世帯が得るべき婚姻費用額を計算する

権利者(受け取る側)の世帯が得るべき婚姻費用額を、以下の式によって計算します。

権利者世帯が得るべき婚姻費用額
=(権利者の基礎収入+義務者の基礎収入)
×権利者世帯に属する人の生活費指数の合計
÷権利者世帯と義務者世帯に属する人の生活費指数の合計

※生活費指数
夫婦本人:それぞれ100
子ども(14歳以下):1人当たり62
子ども(15歳以上):1人当たり85


(例)
・子ども(10歳)が1人いる夫婦が離婚する
・夫の年収は500万円(給与)※基礎収入は210万円
・妻の年収は400万円(給与)※基礎収入は168万円
・別居期間中に子どもと同居していたのは妻

→権利者世帯は妻・子、義務者世帯は夫

権利者世帯が得るべき婚姻費用額
=(210万円+168万円)×162÷262
=233万7252円


4-3. 権利者の基礎収入との差額を精算する

最後に、権利者世帯が得るべき婚姻費用額と、権利者の基礎収入の差額を計算します。この計算結果は、義務者が権利者に支払うべき婚姻費用の年額です。

上記の例では、


権利者が得るべき婚姻費用額-権利者の基礎収入
=233万7252円-168万円
=65万7252円(年額)

月額:5万4771円


となります。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw

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