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転職したい会社の最終面接で社長や役員に対して何を語るべき?

2023.04.20

■連載/あるあるビジネス処方箋

前々回は賃上げをテーマにして人事の専門家に取材を試みた。その際、高い賃金の企業に今後転職をする可能性が高くなることを取り上げた。前回は、特に20~30代が転職をする際に関心事であろう転職回数をテーマとした。

今回は、中途採用試験の大きな壁である最終面接について、人事コンサルティング会社・トランスラクチャのHRデザインコンサルティング部(旧制度設計部)の部長で、人事コンサルタントの仲山和秀(なかやま・かずひで)さんに取材を試みた。

Q.中途の採用試験における最終面接で、大切な点はどのようなものでしょうか?

仲山:20代半ばから後半にかけての中途の場合、そのエントリー者の実績や成果、スキルが職務経歴書や面接で顕在化されていて、それが面接官を納得させるものでないといけない。

1次、2次面接は通常は実績や成果、スキルを強くアピールする姿勢で問題はないが、最終面接では「上司や周囲、会社の支えでこういう実績を残すことができた」と広い視野でやや控え目なアプロ―チが望ましい。

Q.広い視野とは?

仲山:1次、2次面接で実績や成果、スキルが評価されているからこそ、最終に進んでいるわけで、その場でまた同じ切り口で同じ内容をアピールするのは得策ではない。

むしろ、仕事をするうえでのチームワークや協調、誠実さを心得ていることを前面に出したほうが、実績や成果、スキルがさらに光る。そのほうが、会社という組織を心得ている最終の面接官(多くは役員)には受ける。そのためにも、上司や周囲、会社の支えは最終では必ず語っておきたい。

Q.なるほど。会社という組織を心得ていることをアピールするのですね。

仲山:私が役員報酬の制度に関するコンサルティングに関わってきた範囲で言えば、一流のレベルの企業(各業界の上位3番以内とする)の社長は5000万円から1億円、副社長や専務は3500万円~8000万円、常務は3000万円から4000万円、ヒラの取締役は2000万円から3000万円を年間の報酬として受けとっている場合が多い。時給に置き換えると、通常の会社員からすると相当に高い。

こういう人たちが最終面接に出ているならばそのことに感謝し、面接に臨んだほうがよい。その思いがあれば前職(現在在職中の場合もある)のことであれ、上司や周囲、会社の支えを語るのはマナーなのだと思う。

なお、中小企業(この場合は社員数300人程、売上が70億円程)でも、オーナー社長ならば1億円前後の報酬を受け取っているケースがある。こういう経営者が最終では面接官である場合が少なくないのだから、面接の場では敬意をきちんと必ず伝えたい。その姿勢を伝えられないと、不採用になるのかもしれない。

Q.新卒と中途の採用試験における最終面接の意味合いは大きく異なるのですね。

仲山:会社により違いはあるが、新卒の場合は最終面接で不採用になるケースは中途よりは少ない。中途では特に一流企業で、強力な採用力があるならば、転職回数が多いなどリスクを感じる人材を無理に雇う必要はないので、不採用となるケースは相当に多い。

最終には担当役員など部署の最高責者が面接官として参加する以上、1次、2次面接のように現場や人事部の担当者、責任者にアピールするスタイルとは視点を変えて説明し、理解していただく必要がある。

Q.さらに重要な点は、どのようなものでしょうか?

仲山:最終では、受験者のキャリアの近未来と会社や事業のそれがマッチしていることに加え、受験者がその事業で活躍する姿を多くの面接官がしっかりとイメージできるように誘わないといけない。

そのためには中期経営計画などにも目を通し、経験にもとづく分析や視点を面接では丁寧に伝えたい。例えば「こういう経験や実績があり、こんな具合に新しい事業を捉えていて、こんな働きをしてこのように貢献したい」と言えるようには準備をしておきたい。

Q.最終では、面接官から質問が集中するエントリー者がいますね。

仲山:ええ、本来は面接官から質問が集中するようになっているのが好ましい。そのためには、1次や2次では過去の実績を強調しつつ、それが将来の事業にこう活きる、と感じ取ってもらえるような内容にしておくと、なおよいだろう。その内容が最終の面接官に人事担当者から伝わるはずであり、そこまで意識して準備をしておくべきだ。

つまりは、「こういう経験や実績があり、こんな具合に新しい事業を捉えていて、そこでこんな働きをしてこのように貢献したい」といった視点での一貫性である。この一貫性は毎回の面接(1次、2次など)を終える都度に、PDCAサイクルを回し、問題点を修正すると、最終での回答のブレがなくなり、磨きがかかるはずだ。

取材を終えて

私のこれまでの取材経験をもとに言えば、人事部では最終面接に残るエントリー者にはその時点での順位を決めてある。例えば、「この男性を1番に、この女性を2番に」というように。当然、それも役員らに伝えてある。面接官の役員たちは、それをベースに臨む。「よほどのことがない限り、その順番が変わることはない」。こんなことも、取材相手である人事部の管理職からよく聞く。

これは、ある意味で当然かもしれない。役員は大企業の場合、通常は2~3年で変わる。

実際にエントリー者と入社後に一緒に仕事をするわけでもない。まして、大半は現場のことが正確にはわかっていない。言い方を変えると、1次、2次、3次、適性や筆記でほかを圧倒する評価を得ていれば、内定になる可能性が高い。同じオフィスで仕事をするのは、1次や2次、3次の面接官である可能性が高いのだから、この人たちの評価を尊重するのは常識的な判断だろう。

最終では、会社員として、組織人としての考えや言動、仕事の仕方をきちんと心得ていることをアピ―ルすることに重きを置いたほうが得策だ。

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文/吉田典史

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