新規感染者数の減少傾向が続き、3月13日からはマスクの着用が個人の裁量に委ねられるなど、昨今はコロナ禍の収束ムードが漂っている。
しかしながら、パンデミックが残した爪痕は深く、特にコロナ禍に創業した企業への影響は大きく、廃業の憂き目に遭う会社が増加しているようだ。
帝国データバンクはこのほど、2020年2月以降のコロナ禍に創業した新興企業の倒産動向について、調査・分析を行い、その結果を発表した。
国内で新型コロナウイルスの感染拡大した2020年2月以降に創業した新興企業の倒産は、累計で294件発生
コロナ禍に「創業」した新興企業の倒産が急増している。国内で新型コロナウイルスの感染拡大した2020年2月以降に創業した新興企業の倒産は、累計で294件発生した。
このうち、2月までの2022年度累計は220件発生し、21年度(67件)から3倍超に急増した。20年2月以降の倒産件数累計(約2万600件)では約1.4%の割合にとどまるものの、コロナ禍に創業した業歴の浅いアーリーステージ段階の企業で倒産が増加している。
平均業歴は1.8年にとどまり、創業から2年未満で事業を終える「短命」倒産が多かった。
業種別にみると、最も多いのは老人福祉事業
業種別にみると、最も多いのが老人福祉事業で、全体の8.8%を占めた。多くが、競争が激しいデイサービスやショートステイなど通所型介護事業で、参入障壁が比較的低く事業規模が小さい企業の倒産だった。
老人福祉事業では、コロナ禍で介護報酬の加算など国の支援も行われたものの、他方で感染を懸念した利用の手控えといった動きもあり、参入計画の段階で準備不足が否めないケースが多くみられた。
不動産代理・仲介のほか、参入障壁の低い美容室、放課後等デイサービスをはじめ障がい児通所など、総じてサービス業が多くを占めた。
一方、コロナ禍に関連した資金繰り支援や支援金などが経営を下支えしていることも背景に、飲食店の各業態ではいずれも倒産は少数にとどまった。
足元では、業歴の浅い企業の倒産割合が増えている。2023年2月の倒産では業歴10年未満の倒産は累計164件に達し、2009年8月以来13年6カ月ぶりに増加した。ポストコロナに向け経済活動が正常化に向かうなか、こうした新興企業の淘汰はより強まる可能性がある。
出典元:帝国データバンク
構成/こじへい