日本では在宅介護が増えているといわれるが、同時に介護する人の仕事との両立問題も深刻化してきている。介護離職も社会問題となっている。そうした中、市販の介護食・栄養補助食品が進化し、介護する人、される人双方にメリットが生まれてきている。
そんな市販の介護食・栄養補助食品とはどう付き合っていけばいいか、管理栄養士にアドバイスを聞いた。
介護者の現状
介護食・栄養補助食品市場は近年、伸びを見せているといわれる。市販品を見渡してみても、実に種類も数も豊富だ。
介護する人はいま、どんな思いを抱えているのだろうか。
ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニーが、2023年2月に同居家族の在宅介護を行う人500名を対象に実施した「在宅介護に関する調査」によれば、「在宅介護の不安」を85%が抱えており、不安の内容の1位は「食事介助(47%)」となった。
自由回答では「誤嚥」「誤嚥性肺炎」「喉のつまり」など、主に飲み込みについての不安が多く寄せられた。
また、要介護者の食事について聞いたところ、1位は「事故なく、安全に食べてほしい」で66%、2位は「おいしく食べてほしい」で57%、3位「食事を楽しんでほしい」で46%という結果となり、安全かつ美味しさや楽しさが重視されていることがわかった。
現在利用しているサービスや製品について尋ねたところ、「入浴介助(デイサービス、在宅介護サービス)(62%)」が最も多く、次いで「食事に関するなんらかのサービスを頼んでいる(57%)」となった。
「食事関連」のサービスでは、具体的には、デイサービスの昼食や介護サービスの食事の用意と介助サービスが多く利用されており、負担を減らしている様子も見てとれた。