伊東とともにストレッチする新エース候補の三笘(右=筆者撮影)
カタールW杯経験者16人がチームをけん引
ワールドベースボールクラッシック(WBC)で日本の14年ぶりの優勝で盛り上がる日本国内だが、次は第2次森保ジャパンだ。24日に新体制初陣となるウルグアイ戦(東京・国立)を迎えるからだ。
2022年カタールワールドカップ(W杯)でクロアチアにPK負けし、あと一歩で悲願のベスト8入りの逃したことは記憶に新しいが、3年後の2026年北中米W杯では何としても未知なる領域に到達しなければならない。
「あの悔しさを知る選手がチームを引っ張っていかなければいけない」と板倉滉(ボルシアMG)や堂安律(フライブルク)も口を揃えている。これまで長く代表をリードしてきた川島永嗣(ストラスブール)、長友佑都(FC東京)、吉田麻也(シャルケ)、酒井宏樹(浦和)ら30代ベテラン勢が相次いで選外となっただけに、カタールを経験したメンバー16人はまず責任感を持って取り組むべきだ。
攻撃陣の序列も変化。「戦術・三笘」のスタメン起用へ
こうした中、やはり注目すべきなのは、攻撃陣の陣容だろう。カタール大会の日本は4-2-3-1と3-4-2-1を併用。先発1トップは前田大然(セルティック)が基本で、4バックの時は2列目が右から伊東純也(スタッド・ランス)、鎌田大地(フランクフルト)、久保建英(レアル・ソシエダ)という並びが中心だった。
コスタリカ戦の途中から採った3バックの時は、やはり前田が最前線に入り、2シャドウに鎌田と久保、伊東は右ウイングバック(WB)に入る形になっていた。そして浅野拓磨(ボーフム)と堂安、三笘薫(ブライトン)がジョーカー役を担い、ドイツ・スぺイン戦での劇的逆転勝利につなげていた。
伊東、鎌田、田中碧らの起用法も気になるところ(筆者撮影)
しかしながら、新体制になった全員がフラットな状態。森保一監督も全く同じ役割を与えるつもりはないだろう。
とりわけ、イングランド・プレミアリーグ後半戦11試合に先発し、5ゴールを叩き出している三笘のスタメン入りは既定路線ではないか。世界を震撼させるドリブル技術と突破力、シュート精度を誇る男を使わない手はないからだ。
22日の練習時に笑顔を見せる三笘(筆者撮影)
三笘が初合流した22日のトレーニングでも、千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドに集まったサポーターや子供たちから「三笘選手」とひっきりなしに声援が飛ぶほど、彼の注目度は飛躍的に上昇している。その人気はかつての中田英寿、中村俊輔(横浜FCコーチ)、本田圭佑、香川真司(C大阪)を彷彿させる。新世代のスーパースター候補をエースに育て上げるのも森保監督の大きな仕事。新生ジャパンでは「三笘システム」をぜひとも見せてほしいものである。
代表における三笘のポジションは左FWか左WB。4-2-3-1だったら、体を張れて相手マークを引き付けられる上田綺世(セルクル・ブルージュ)を最前線に配置し、2列目には伊東・久保を入れるのが、三笘を生かせる最善の組み合わせではないか。
ご存じの通り、爆発的スピードを誇る伊東はフランスでは強豪・パリサンジェルマン戦でも大暴れしたくらいの実力者。代表でも右からタテに突破して左の三笘がゴールする形を作りやすいはずだ。
三笘と大学選抜時代からコンビを組んでいた上田は相性がいい(筆者撮影)
逆に三笘がボールを持って敵をキリキリ舞いすれば、中央から上田、久保、右から伊東が飛び込んでくるような決定機も演出できる。「戦術・三笘」と言われる男が数多くのゴールシーンに絡めれば、日本の攻撃は確実に活性化するに違いない。
「僕は敵が2人来ていても行き切らないといけなかった。チャンスのところでゴールに行けなかったことは悔いが残りますし、そういう実力。仕方ないと思います。
自分はチームを勝たせる存在にならなきゃいけない。W杯で活躍できる選手がいい選手だと思いますし、ベスト8に導ける選手。これからの4年間、もう1回、それを目指そうと思っています」
クロアチア戦後の取材ゾーンで、三笘は目を真っ赤にして号泣しながら、毅然と前を向いた。その決意が今季後半戦の目覚ましい活躍につながっているのだろう。
ベルギー1部で14ゴールを奪っている上田、フランス・リーグアンで5ゴール5アシストの伊東、ドイツ・ブンデスリーガ1部で直近2戦連発の堂安、スペイン・リーガエスパニョーラで今季5ゴール3アシストの久保と、今の日本攻撃陣はどこからでも点を取れそうな印象はあるが、その中でも三笘の迫力と鋭さ、決定力は群を抜いている。この男を生かすか殺すかで、第2次森保ジャパンの成否が決まると言っても過言ではなさそうだ。