3. 慰謝料
離婚について専ら相手に責任がある場合には、慰謝料を請求できます(民法709条)。たとえば、以下のような行為が離婚の原因となった場合には、慰謝料の対象です。
(例)
・不貞行為
・DV(暴力)
・モラハラ(精神的な攻撃)
・悪意の遺棄(無断別居、正当な理由のない生活費の不払いなど)
慰謝料の金額は100万円から300万円程度が標準的で、離婚原因となった行為の内容・悪質性などによって適正額が決まります。過去の裁判例などを参考に、夫婦(またはその代理人弁護士)が話し合って決めるケースが多いです。
4. 婚姻費用
離婚成立前に別居期間がある場合には、生活費などの婚姻費用の精算が発生します(民法760条)。
適正な婚姻費用の負担割合は、夫婦の収入バランスや、同居している子どもの人数・年齢によって決まります。相手の方が多くの収入を得ている場合や、別居期間中にご自身が子どもと暮らしている場合には、婚姻費用の請求を忘れずに行いましょう。
具体的な婚姻費用の金額を計算する際には、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」が参考になります。
5. 親権
離婚する夫婦の間に18歳未満の子どもがいる場合、親権者をどちらか一方に定める必要があります(民法819条1項)。
司法統計※によれば、母親を親権者とするケースが非常に多い(おおむね9割以上)ですが、合意ができればどちらを親権者としても構いません。
※出典:https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/257/012257.pdf
育児に割ける時間・経済力・養育環境の変化による影響などを総合的に判断して、子どもの利益の観点から親権者を決めましょう。
6. 養育費
離婚によって子どもの親権者でなくなった側は、子どもに対する扶養義務(民法877条1項)を果たすため、親権者に対して養育費を支払う義務を負います。
子どもがいる夫婦が離婚する際には、養育費について以下の事項を取り決めておきましょう。
・毎月支払う養育費の金額
・養育費をいつまで支払うか(「○歳まで」「大学卒業まで」など)
・臨時的な支出(=特別費用)が発生した場合の精算方法
など
なお、毎月支払う養育費の金額を計算する際には、裁判所が公表している「養育費算定表」が参考になります。
6-1. 面会交流
親権者でなくなった側の親が、18歳未満の子どもとどのように交流するかについて、以下の事項を取り決めておきましょう。
・会う頻度
・会う時間帯
・子どもの受け渡し場所
・宿泊を認めるかどうか
・子どもへの直接連絡の可否、連絡方法
など
基本的には両方の親と交流することが、子どもの情操教育の観点からプラスに働くと考えられます。
非親権者の側が子どもに対する虐待を行っていたなど大きな問題があるケースを除き、定期的に面会交流を行うことが望ましいでしょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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