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〝フィールドを駆けるウェーブ〟のような光に注目!話題の「エスコンフィールド」を支えるパナソニックの照明技術

2023.04.04

2023年330日に開業する、北海道日本ハムファイターズの新スタジアム「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド)」。日本プロ野球加盟12球団の本拠地としては、約14年ぶりとなる新球場だ。敷地面積5ha、収容人数は35000人という巨大スタジアムには、日本初となる〝開閉式屋根付きの天然芝〟が採用されている。また世界初のサウナ・温泉に入りながら観戦できる複合施設があり、これまでの野球観戦をはるかに超えたエンタテインメント体験ができる。

そんな〝最新エンタメ球場〟エスコンフィールドを陰ながら支えるのが、パナソニックが手がける照明だ。照明は一見すると地味な存在ではあるが、観客にとっては試合への没入感を高め、エンタテインメント気分を一層盛り上げてくれる重要な演出設備だ。もちろん、選手にとっては命綱のような存在で球場を規定の明るさに保つことで本来のパフォーマンスが出来るようサポートする役割を持つ。今回はスポーツとエンタメの両輪を実現する〝照明〟について迫る。

ナイター照明が選手に与える影響って?

今や当たり前とも言える野球のナイター試合。日本プロ野球での歴史は約75年ほど前にさかのぼる。当時野球は太陽の下で行われており、平日でもデイゲーム開催が普通だった。当然、その時間帯は多くの人が仕事をしているので平日の球場はガラガラ。それらの課題を改善するために、照明が設置された「横浜ゲーリック球場」で1948817日にプロ野球で初めてのナイターゲームが開催され、多くの球場・球団がナイターゲームを取り入れるようになった。

プレーする野球選手にとってもナイターゲームにおける照明は、なくてはならない存在だ。デイゲームと同じパフォーマンスを発揮するには、昼間同様の明るさが求められる。しかし、初のナイターゲームでの照明の明るさは、現在の10分の1以下といわれており、プレーする選手にもケガが相次いだという。

1948年の初ナイターゲーム以来、明るさの問題や照明が直接目に入ってしまうことによる選手の眩みなど、多岐にわたる課題を解決すべく、照明は進化し続けてきた。そして、その最新型がエスコンフィールドの照明なのだ。

バックネット裏から見たエスコンフィールド球場全体

あくまで〝プレーヤーファースト〟で設計

 パナソニックは阪神甲子園球場など国内の様々なスタジアムで、競技照明の導入実績がある。それでも今回のエスコンフィールドへの照明提供はかなり苦労したという。

それは、照明機器の位置だ。同社が手がける阪神甲子園球場の照明設備はレフト、ライトに大きな照明が設置される、いわゆる〝野球特有〟の照明だ。しかしエスコンフィールドは開閉式屋根を持ち、グラウンドの左右に大型ビジョンを設置するので、通常のスタジアムと違い、グラウンドを360度取り囲むような照明配置ができない。

 そこでホームベース側(固定屋根側)と外野側(ガラスウオール側)の2方向にだけ照明器具を取り付ける、特殊な配置にしている。固定屋根側からは主にグラウンドの外野を、ガラスウオール側からは内野を照らす。

エスコンフィールドの照明設備について説明する、パナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部 エンジニアリングセンター 専門市場エンジニアリング部 スポーツ照明課 課長 栗本雅之さん

「特殊な条件がある球場だったとしても、選手にとって最もプレーしやすい照明は何かを徹底的に追い求めるべく設計をしていきました。具体的にはまぶしさの原因になる光の重なりを減らすため、挟角配光のための技術を採用し、VRによるテストシミュレーションを行いました。さらに元プロ野球選手に実際の打球の軌道を助言してもらい、検証を進めていきました」(パナソニック エレクトリックワークス社・栗本さん)

LED投光器

VRで見たホームベース側の照明配置。白い線は光の照射イメージを表す

今回設置されたパナソニックの照明機器354台(2kW相当のLED投光器が226台、1kW相当のLED投光器が128台)は一台一台が細かく別角度を向いており、選手の目に光源が複数が入ることを防いでいる。これにより選手は、明るさが担保された状態でプレーすることができ、「照明の光が選手の目に入ってフライボールを落としてしまう」などの事態を防ぐ。

LED投光器はそれぞれ微細な角度変化がある。これによって光の重なりを減少させる

観客は〝光の世界〟に魅了される!

あくまで〝プレーヤーファースト〟で設計されたLED照明だが、我々観客にとっても最高のエンタテインメント体験を実現させる重要な演出装置としての機能も担っている。

具体的には、今回搭載された354台のLED照明を個別に制御することによる、フィールド上の光の演出だ。照明ひとつひとつがそれぞれ強弱をつけながら光を放つことで、ウェーブが起きているような演出を可能にする。光の波により、観客の視覚からのワクワク感を創出する。

グラウンド上の光がウェーブのように流れる演出などが可能だ

また、照明・映像・音響などを連動した演出ができる、統合演出マネジメントシステム「KAIOS」を導入。これによって、球場全体が熱気に包まれるようなダイナミックな演出が実現される。例えばホームラン時には394台の照明が光の演出をし、エスコンフィールド内に設置された約600台のサイネージが一斉に映像演出を行い、そこに特大液晶パネルや音響が連動する。しかもこれが最短0.5秒間で行なわれるので、ゲーム内の進展が会場内に一気に伝播していくわけだ。

「KAIROS」の連動イメージ図。これらが1秒未満の間で連動し、球場の熱気を可視化する。

さらに、照明の演色性の高さもポイントだ。演色性とは「太陽の光に近い色を出せるか」を表した指標で、Raという単位を用いて表される。演色性が最大の場合はRa100となり、虹色の7色で構成される太陽の光と同じ鮮やかさが再現できていることになる。現在の技術では、Ra100の照明はまだ実現していないのだが、エスコンフィールドではそれに迫るRa90以上の照明を導入した。これにより、球場の魅力である天然芝や、選手たちの姿がより映えて見えるというわけだ。せっかくの天然芝球場なのだから、その魅力を活かすという意味でも、この照明の存在意義は大きい。このRa90以上という数値は、国内の他球場と比較しても最高級のものだ。

・ダイナミックな演出を行なう動画はこちらから↓

三塁側ラウンジを「Panasonic CLUB LOUNGE」として運営

パナソニックがサポートするのはLED照明の他、ベンチ間近の観戦スペースであるダグアウトクラブの三塁側ラウンジを「Panasonic CLUB LOUNGE」とし、パナソニックの製品・サービスを体験しながら食事ともに試合観戦を楽しめる場として展開している。選手と同じ目線の高さで臨場感のある試合観戦ができるとともに、パナソニックの美容・健康・AV製品を体験できるようになった。

パナソニックラウンジ内イメージパース

 

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