小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

腎結石の予防に使用されてきた利尿薬に再発予防効果がない可能性、ベルン大学病院研究報告

2023.03.19

利尿薬に腎結石の再発に対する予防効果はない?

長年にわたって腎結石の予防に使用されてきたサイアザイド系利尿薬の有効性に疑問を投げかける臨床試験の結果が報告された。サイアザイド系利尿薬には、プラセボを上回る再発予防効果はない可能性があるという驚くべき結論が示されたのだ。

ベルン大学病院(スイス)のDaniel Fuster氏らが実施したこの臨床試験の詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」2023年3月2日号に発表された。ただし専門家らは、現時点ではこの結果を基にこれらの薬の使用を中止すべきではないと呼びかけている。

腎結石は、二度とは経験したくないほどつらい経験であるようだが、その再発率は高い。比較的安価な薬であるサイアザイド系利尿薬は、何十年も前に実施された研究結果に基づき、主にカルシウムでできた腎結石を有する患者の再発予防の礎とされている。

しかし、プラセボと比べたサイアザイド系利尿薬の有効性に関するデータや用量反応関係に関するデータは、限られているのが現状である。

今回の試験でFuster氏らは、腎結石の患者416人を、毎日サイアザイド系利尿薬の一種であるヒドロクロロチアジドを1日1回、12.5mg(105人)、25mg(108人)、50mg(101人)使用する群と、毎日プラセボを使用する群(102人)にランダムに割り付け、中央値2.9年にわたって追跡した。

その結果、腎結石の再発率は利尿薬群とプラセボ群で同程度であり、対象者の49~59%で腎結石の症状の発症、あるいはX線で新たな結石の形成または既存の結石の増大が確認された。

なお、再発率が49%と最も低かったのは、使用した利尿薬の使用量が50mgの群の患者であったが、プラセボ群との比較で、統計学的に有意な再発リスクの低下は認められなかった。

アルバータ大学(カナダ)小児科学・小児腎臓病学教授で、同試験に関する付随論評の著者であるTodd Alexander氏は、「この結果は腎結石の治療に取り組んでいる医師たちにとって驚きに違いない」と言う。

ただ同氏は、本試験で各群に割り付けられた患者は100人程度であり、有意な群間差を検出するには不十分であった可能性があると指摘。

この結果だけでは現行の標準治療を変えるデータとしては不十分との見解を示し、「臨床試験やわれわれの臨床経験に基づき50年間使い続けてきたこの種の薬を捨て去るべきなのか? 答えは『ノー』だ」と話す。

一方、米マウント・サイナイ・ヘルスシステムの泌尿器内視鏡・結石疾患部門長のMantu Gupta氏は、この臨床試験の結果に対して、「試験の実施方法はしっかりとしているが、着想はいかがなものか」と率直な意見を示す。

その理由として同氏は、日常の実臨床とかけ離れた治療が試験で検討されている点を挙げる。例えば、サイアザイド系利尿薬は全ての腎結石患者に対してではなく、カルシウムでできた結石があり、尿中のカルシウム濃度が高い患者に対してのみ使用される。

それに対して、今回の臨床試験の対象者の3分の1以上では尿中のカルシウム濃度が高くなかった。

また、通常は長時間作用型の利尿薬が使用されているが、試験で使用されたヒドロクロロチアジドは短時間作用型の利尿薬であり、もし同薬を使用するなら、1日2回の処方になる場合が多いこともGupta氏は指摘。

これらの限界点を理由に、Gupta氏やAlexander氏は、現在行っている治療法を変える気はないと話している。また両氏は、腎結石の予防目的で利尿薬を使用している患者に対しても、今回の報告を理由に利尿薬の使用を中止すべきではないと呼びかけている。

ただしGupta氏は、「結石ができやすい人たちは、必ず担当医に治療選択肢について相談すべきであり、サイアザイド系利尿薬が自分に適した治療薬なのかどうかについても確認すべきだ」と付け加えている。

一方、Alexander氏は、利尿薬によって結石の再発を減らせるとしても完全に抑えられるわけではないこと、副作用を伴う可能性があることを問題点として挙げ、「今回の臨床試験により、われわれが、腎結石に対するより良い治療法を必要とする状況に置かれていることが浮き彫りにされた」との見解を示している。(HealthDay News 2023年3月6日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2209275?query=featured_home

構成/DIME編集部

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年5月16日(木) 発売

新NISAで狙え!DIME最新号は「急成長企業55」、次のNVIDIAはどこだ!?

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。