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必要なのは「自分軸とWHY」、AI・ジョブ型雇用時代に求められる生き残り戦略

2023.03.19

目まぐるしく変化する日本の労働環境の中で生き残るためには、私たちはどのように考え、行動すればよいのだろうか?

今回は大手自動車会社で開発、企画、人事の3部門を経験した後、現在は人事コンサルタントとして活躍する山極毅さんに、お話をうかがった。

元大手自動車メーカー人事部長が解説!ジョブ型雇用の弊害とメンバーシップ型の意外なメリット

ここ数年、日本の有名企業が相次いでジョブ型雇用制度を導入している。

たとえば富士通は2020年から、日立製作所は2021年から。直近では、JR東日本や中部電力もジョブ型雇用を開始したことが報じられた。

ジョブ型雇用とは、職務内容を明確に定義した上で企業と従業員が雇用契約を結ぶシステムのこと。人事異動により不本意な仕事をさせられるリスクがないため、魅力的に思えるが……。

以前からジョブ型雇用の弊害について警鐘を鳴らしてきた山極さんは、こう指摘する。

山極さん「ジョブ型雇用には大きく分けて3つのデメリットがあります。

1つ目は、今まで自分が経験した仕事の中からしか選べない、ということ。

専門的なことをイチから学ぶのはハードルが高いので、結果的に選択肢を狭めるおそれがある。しかし、これから何年先も、何十年先もその仕事が残るのかは予測不可能です。

2つ目は、たとえジョブ型雇用であっても仕事の成果は他人に影響される、ということ。どんな仕事であっても、個人だけの力で成し遂げるのは極めて難しく、絶対にチームワークが必須。それはいつの時代も変わりません。

3つ目は、スキルチェンジが難しくなる、ということ。合わなかった場合にイチから学び直しとなると、人生そんなに時間はないじゃないですか」

やりたい仕事だけをやって“自分の武器=専門性”を着実に磨いていくことができる、最先端の素敵な制度、というイメージは幻想だったのか?

一方、従来の日本企業でよく見られるメンバーシップ型雇用のメリットについても解説してもらった。

メンバーシップ型雇用とは、職務内容や勤務地を限定せずに企業が従業員と雇用契約を結ぶシステムのこと。転勤や異動を繰り返しながら、長期的に人材育成をしていくのが特徴だ。

山極さん自身も、大手自動車メーカーの日産自動車に27年間勤務し、メンバーシップ型雇用を経験した。

山極さん天職に出会うためには、実はメンバーシップ型雇用が非常にいい。私も人事に異動になったときは正直とても驚いて、自分にできるのか!?と思いました。

しかし今振り返ってみると、子どもの頃は先生に、大学生の頃は研究者になりたいと思っていた。そして人事コンサルタントにも、先生や研究者に似た要素がかなりあると気づいたんです。

まだ社会経験がなかった若い頃は、当時の自分が知っている職業しかイメージできなかった。しかし社会に出て色々な経験を経て、“人事を研究して”“人に教える”職業である人事コンサルタントにたどり着きました。

会社という比較的安全なシェルターの中で、いくつもの“やらなきゃいけない仕事”と出会うことで、本当の“やりたい仕事”を見つけられることもあります」

山極 毅(やまぎわ たけし)氏 
株式会社経営人事パートナーズCEO。1964年生まれ。1989年、日産自動車入社。開発部門ではエンジニアとして、フェアレディZやGTRのエンジン技術を担当。2010年からは人事部において戦略的人員計画SWP(Strategic Workforce Planning)の導入責任者となる。その後もルノーとの資本提携後の企業再生プロセス、意思決定プロセス改善を体験。2016年3月に日産自動車を退職。同年4月に株式会社経営人事パートナーズを設立。YouTubeチャンネル『山極毅の人事戦略チャンネル』でも情報発信中。

アメリカでは既に化石扱い!ジョブ型雇用は解雇規制が厳しい日本での抜け道だ

前述したように日本の大手企業が近年導入しているジョブ型雇用だが、アメリカでは既に化石とみなされ完全に時代遅れになっているそうだ。

山極さんによると、ジョブ型雇用は解雇規制が厳しい日本において人材を流動化させるための苦肉の策なのだという。

山極さん「1990年代後半ぐらいから、日本はアメリカの人事制度の良いところを真似して学ぼうとしていました。

たとえば、MBO(Management by Objectives=目標による管理制度)。これは会社が決めた目標を従業員にひとつずつ分割して割り振っていくというやり方で、ゼネラル・エレクトリックが最初に始めて、多くの企業が真似していた。

しかし今となっては、アメリカでは化石とみなされています。

なぜかというと、世の中の変化が早すぎるから。MBOではだいたい年度ごとに目標設定するのですが、1年間というスパンの中でも変化が目まぐるしいため間に合わないのです。

ジョブ型の欠点としては、組織が硬直化しやすいというリスクもある。社内にあるすべての仕事を定義するなんて、不可能です。定義からこぼれ落ちる仕事が絶対出てくるのに、“私の仕事じゃないんで!”と皆が言っていたら、うまく回らない。

そこで、ボトムアップ型にして従業員が自由に動くやり方にしないと時代の最先端から取り残されると気づいたアメリカの企業は、MBOをやめてOKR(Objectives and Key Results=目標達成と主要な成果)を始めました。

OKRは会社が割り振った目標とは別に従業員が自分達でやりたいことを設定し、チーム一丸となってチャレンジしていこう、というボトムアップ型の評価制度。

今アメリカの成長企業の多くがOKRを導入している。このOKRは、日本の古き良き企業の良いところを取り入れた制度なのではないか、と私は考えています」

MBOでは、上司と部下の間で年に1度人事評価のために目標が設定され、100%達成する必要がある。一方OKRの場合は毎月(または四半期ごと)生産性向上のための目標が会社全体で設定され、60~70%の達成水準で良いとされている。

言われてみれば、OKRは確かに日本の古き良き企業を彷彿させるような制度でもある。

山極さん「面白いエピソードをひとつ紹介します。1970年代前半のアメリカの話ですが、当時世界一厳しい排気ガス規制と言われていたマスキー法について、アメリカの自動車メーカーはガソリンエンジンでの規制クリアは不可能だと完全に諦めていました。

そんな中、世界で初めてマスキー法をクリアしたのが、ホンダのCVCCエンジンだったのです。

何がカギだったかというと、開発の速さ。当時のホンダのように、チーム全員一丸となってお互いの弱点をカバーしながら圧倒的スピードで結果を出すのは、ジョブ型の組織ではできない。

日本は本来このような戦い方が得意だったはず。ところがアメリカから日本文化に合わないヘンテコな思想を持ち込んでしまったがために、かえって競争力が落ちてしまったのではないでしょうか」

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