世界のアートマーケットにおける東京の課題
世界のアートマーケットの首都はニューヨークであり、アートフェアであればバーゼルが中心である。それはアジアのアートシーンでも同じことがいえる。実際、アジア最大規模のアートフェアである「アートバーゼル香港」が今月23~25日の間で開催され、参加ギャラリーは世界32カ国から選ばれた172軒である。
こうしたフェアの前に開催される「アートフェア東京」がどんな立ち位置にあり、どのような面白さを見出せるのか、これが今後も課題となり続けるだろう。
とはいえアートフェアはアーティストや作品を紹介するだけでなく、ギャラリーがディレクションを見せる力量が問われる部分も大きい。そういう意味では、初期のアートフェア東京よりも格段に独自性をブースで表現するギャラリーが多くなったことが印象的であり、東京ならではのアートフェアとして、今後も独特な発酵をしながらグローバルなアートシーンの一端を担うことが期待される。
おわりに
アート作品には高額な作品だけでなく、手に入れやすい価格帯の作品も多数存在する。もちろん最初の購入のハードルは心理的にも高いかもしれない。
しかし、購入したあとには作品と共に過ごすアートでしか得られない豊かな時間が待っているはずである。
楽しみながらアートに触れ、作品を購入する機会としてもアートフェアを利用してみることを心からオススメしたい。
文/スズキリンタロウ (文筆家・ギャラリスト)