ハーバードの研究員たちは、困難なミッションを達成するため、まだ、発見されていない「価値」に到達するために日々、研究を続けています。そこで働く研究員たちが重要視しているある習慣。それは、「1日5分好奇心を刺激し、思考の固定化を避ける」「どんな時でも、新たな発見を求める」「チームや同僚の助けを得て、日々前進しようとする」といったことです。
ハーバードでは、これらの習慣を、「なんとなく」重要視しているのをではありません。一言でいうなら、「脳が冴えた状態をキープする」ための習慣として大切にしているのです。脳が冴えた状態をキープできるとどんな時でも思考が止まらなくなります。ビジネスから日常のモヤモヤまであらゆることがスムーズに運ぶようになるのです。
本記事ではハーバード大学の医療機関に在籍し、多くのプロジェクトを通じて学んできた脳の使い方を紹介する川﨑康彦氏の著書「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」からビジネスパーソンが仕事に使える「脳が冴える33の習慣」を抜粋、再構成してお届けします!
理論型か感情型かに大別する
これまで、無意識の行動と選択、決断のパターン(私の場合は、人を避けること)を見つけ出すことが大事だとお伝えしました。ここでは、自分の行動の傾向を見つけるもう1つの方法を紹介します。
それは、自分のタイプを知ること。人は、物事を理論的に捉える「理論型」タイプと、感情的に捉える「感情型」タイプに大別できます。自分がどちらに該当するのかは、だいたい予想がつくでしょう。
そして、このどちらの傾向にあるのかを知るだけでも、大きな前進です。以下に紹介するように、タイプごとに行動の変え方、さらには脳の鍛え方があるからです。
また、タイプが分かれば行動パターンを見つけやすくなります。例えば電化製品を選ぶ際、感情型は見た目を大事にするけれど、理論型は機能やスペックを重視するといったように、です。
では、タイプごとに行動や思考のパターンを変えるメソッドに、取り組んでみましょう。
◆理論型タイプ
このタイプの人は、大脳皮質の左脳部分をより多く使う傾向があります。映画でいえば、事実を抽出してきたドキュメンタリーを好み、読書する際にもノンフィクションを選ぶ人が多いでしょう。完璧主義の人は、このタイプに多い傾向があります。
このタイプの人は、あえてフィクション作品を選ぶと、思考パターンが変えられます。
また、物事を悲観的に捉えやすい傾向があり、何か行動を起こすときには、失敗しないように完璧に計画を立ててから行動する傾向があります。物事に臨む際に成功した後のことを想像する癖をつけると、失敗を恐れて行動しなくなるようなことを防ぐことができます。
また、スマートフォンの情報に頼らず原始的な感覚器である嗅覚や視覚を使うことで、感情型の思考に近づくことができます。例えば、食事をするときに匂いを意識したり、生活の中で色を意識したりすることで、感覚器が鍛えられて感情型の思考に近づきます。
◆感情型タイプ
このタイプの人は、大脳皮質の右脳部分や大脳辺縁系の部分をより多く使う傾向があります。映画でいえば、ファンタジーや人間ドラマといったフィクションの作品を好み、読書する際にも小説を選ぶ人が多いでしょう。
このタイプの人は、ノンフィクション作品を観賞したり読んだりすることで、思考パターンが変えられます。
また、文章を書いたり話したりする際に事実を明確にし、関係性や因果関係を伝える訓練をすると、理論型のよい部分を取り入れることができます。
加えて、理論型に比べると物事を楽観的に捉えがちなので、何かに臨む際に失敗しないような手段を意識すると、理論型の思考に近づくことができるでしょう。
自分と異なるタイプの人と行動を合わせると効果的
理論型と感情型の人が、それぞれの長所を取り入れるのに最適な方法は、1日一緒に行動することです。例えば、旅行に行ったり、ショッピングに行ったりする際、完璧に計画を立てる理論型タイプと、思いつきで行動する感情型タイプとでは、過ごし方も大きく異なります。
最初は相容れないように感じるかもしれませんが、旅先での食事、観光地の選び方などを、順番を決めて相手の選択と決断に従ってみましょう。そして、それによって自分の考え方に反する行動をとったとしても新たな発見や喜びが見つかれば、互いのよい部分を取り入れる訓練にもなります。
違ったタイプの相手のおかげで、今までの旅では思いもよらない楽しさを見つけるなど、そのありがたさが感じられたら最高です。習慣2の感謝ゲームを行うのもよいでしょう。
これらのタイプはどちらが優れていて、どちらが劣っているというわけではありません。
人が元々持っている特性を完全に変えてしまうのは難しいですし、もし完全に変えてしまったとしたら、その人の個性や強みをなくしてしまいかねません。
チームを作る際には、理論型の人と感情型の人がバランスよく配置されているのが理想です。
ですから、それぞれのタイプであることを否定するのではなく、コミュニケーションをとる際は、お互いが歩み寄るためのトレーニングと考えましょう。それぞれのタイプのよさを認めることができたら、感情型タイプの人は理論型タイプになるトレーニング、理論型タイプの人は感情型で考えてみるトレーニングをしてみるのもお勧めです。
お互いの考えをうまく取り入れることで、行動のパターンが変わり、脳は新たな発想ができるようになります。
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いかがでしょうか? ビジネスも自分の成長も、プライベートなこともすべての「源」は脳です。脳の活用の仕方をさらに知りたい方はぜひ、「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」で紹介されている脳が冴える33の習慣を実践して自分らしい人生を発見してみてください。
「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」
著者/川﨑康彦
発行/株式会社アスコム
https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1270-6.html
川﨑康彦
医学博士。脳科学者。元ハーバード大学医学大学院研究員(2003~2008年)。専門は神経生理学。佐賀大学医学部大学院神経生理学博士課程卒業。中国医科大学(旧満州医科大学)医学部卒業。中国では、東洋医学と西洋医学の両方を学ぶ。その後、これまでの研究成果を買われ、ハーバード大学医学部ブリガム・アンド・ウィメンズ病院麻酔科の研究員として招かれる。在籍中に、論文がネイチャー関連誌にも掲載される。日本に帰国後は、医学博士、理学療法士、カウンセラーとして運動、睡眠、痛みなどに対し、多方面からの知識でアプローチしている。現在は、チャレンジ、感動、旅を通して「多様な脳の共存、共感、共鳴を通して個々の意識と集合意識の成長」をテーマに研究活動を展開し、それらを通して社会に貢献していくコミュニティIBTA(Impact your Brain and Tuning them All)実現のための活動のほか、脳の研究とハーバードでの経験から得た、固定概念を覆して生き方を変えるためのメソッドをオンラインサロンで伝えている。