ジェンダーハラスメントの加害者〜84.6%が「上司」と判明
ジェンダーハラスメントを受けたと回答した人に「誰から」ハラスメントを受けたか聞いたところ、「上司」と回答した人が84.6%と大多数を占めた。
部下に指示や指導をするうえで、「ジェンダーハラスメント」と捉えられるような行動や発言をしてしまっている可能性があると考えられる。
具体的に、どんなジェンダーハラスメントを受けたか聞いたところ、男女不平等を感じる理由にも上がっていたような性別による役割分業をされているという意見のほか、「女性らしさ」、「男性らしさ」を強要されるという意見が多数挙がった。ほかにも、働き方の差別やキャリアアップや昇進面で不当な扱いを受けたという意見も寄せられている。
ジェンダーハラスメント被害への対処〜48.8%が相談できず泣き寝入り
ジェンダーハラスメントを受けたことがあると回答した人に被害に遭った際にどうしたか聞いたところ、48.8%が「誰にも相談せずに我慢した」と回答した。
「上司」からジェンダーハラスメントを受けた人が84.6%に上ったことからも、パワーバランスを理由に泣き寝入りせざるをえなかった人も多いことが推察できる。
実際に、「上司に相談した」と回答した人はわずか6.5%だった。また、「職場の相談窓口(部署)に相談した」は8.1%、「同僚に相談した」は19.5%に留まり、社内には相談しにくいと感じている人は少なくないようだ。
また、「誰にも相談せず我慢」に次いで、「転職・退職を考えた(転職・退職した)」と回答した人は40.7%に上り、ジェンダーハラスメントは働き手の長期就業意欲にも影を落とすことも明らかになった。
ジェンダーハラスメントの相談窓口〜設置率41.9%に対し51.9%が利用しにくい
ジェンダーハラスメントの被害に遭った際の対処として、「職場の相談窓口(部署)に相談した」は8.1%に留まったが、実際にはどれぐらいの企業に相談窓口があるのか。
対象者全員に、現在の勤務先(または直近の勤務先)には、ジェンダーハラスメントを相談できる窓口はあるか聞いたところ、41.9%が「ある」と回答。「わからない」と回答した人も22.9%を占め、認知には差があることがわかる。
さらに、「職場に相談窓口がある」と回答した人に相談窓口が社員に周知されているか聞いたところ、「周知されていない」と回答した人は18.7%。少数ではあるものの、「まったく周知されていない」と回答した人も3.2%おり、ジェンダーハラスメント被害に遭った際、相談窓口があることを知らずに泣き寝入りした人もいる可能性があると思われる。
「職場に相談窓口がある」と回答した人に相談窓口は利用しやすいかどうか聞いたところ、半数を超える51.9%が「利用しにくい」と回答。中でも、「かなり利用しにくい」と回答した人は18.7%に上り、窓口があっても周知されず、利用も敬遠されている企業があるという実態が浮上した。
「利用しにくい」と回答した人に理由を聞いたところ、「利用方法がそもそもよくわからないから」(40代・男性・営業)、「窓口のある場所がわからないから」(40代・男性・企画マーケティング)など、そもそも周知されていないので使うには不安という意見のほかに、「担当者の口が軽く、守秘義務が守られないから」(30代・女性・事務)など通報者が守られないという意見が多数あった。
調査概要
調査内容:職場のジェンダーハラスメントの実態について
調査機関:自社調査
調査対象:当社を利用している全国のビジネスパーソン (20代~40代・男女)
有効回答:446人
調査期間:2023年2月14日~2月21日
調査方法:インターネット調査
関連情報
https://www.workport.co.jp/corporate/news/detail/834.html
構成/清水眞希