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女性活躍の大きなハードルとなっている「管理職の罰ゲーム化」に解決策はあるのか?

2023.03.07

数多くある「中間管理職頼み」

これだけではない。昨今の種々の労働法制への対応や、新しい組織課題は、ほとんど決まりきったように現場の中間管理職の負荷として蓄積されていく。例えば、パワハラ防止法、ダイバーシティ対応、部下のメンタルヘルスやキャリア構築など、新しい働き方の課題の多くが「現場のマネジメント能力」をもって解決されようとしていく。

トレンドをまとめると、以下のような図になる。「管理職の罰ゲーム化」は、中期トレンドと長期トレンドが折り重なった、重層的な現象である。

管理者の罰ゲーム化のトレンド

高くなりすぎた「女性活躍」のハードル

管理職の「罰ゲーム化」の状況は、男女限らない一般的な状況としてあるわけだが、それでも男性よりも「女性」の活躍推進により大きなハードルとなってしまう。なぜだろうか。

それは、相変わらずの男女分業意識から、「結婚」というライフイベントをきっかけとして、「男性」はそうした負荷を背負う覚悟を強め、女性は「家庭時間を確保する」という意識を強くするからだ。

ライフステージごとの重視点のデータで男女のギャップを見れば、育児期間における「給与」と「勤務時間」の重視度で男女差が最も大きくなる(※)。
※20-30代の子どもがいる従業員に対して、4つのライフステージにおける重視点を確認。各ライフステージで重視するもの上位3位率(%)

ライフステージごとの仕事の重視点

簡単にいえば、若い未婚の期間はあまり男女で変わらない仕事の意識が、結婚後には男性は「お金」重視に、女性は「時間」と「休み」重視へと大きくシフト・チェンジする。

ここにおいて、管理職になりたがる男女の違いが再生産されてしまうのだ。今、多くの企業で、管理職一歩手前の等級で女性が滞留することが起きているが、それはこうした感覚が反映されたものだろう。

ライフステージごとの管理職への昇進意欲(管理職になりたい割合)

(出所:パーソル総合研究所「女性活躍推進に関する定量調査」)

管理職の罰ゲーム化を防ぐために

こうした状況への処方箋はなんだろうか。まず、これからも進む働き方改革は、これまでの延長上で進めても女性活躍にはつながりにくい。

メンバーは早く帰り、その分管理職ばかりに負荷がかかるような「改革」では、管理職になりたがる女性は現れない。パーソル総合研究所の調査分析の結果でも、先程の「管理発想」の残業施策は、やはり女性の管理職への昇進意欲を上げていないことも分かっている。

逆に女性の意欲を上げていたのは、「時間あたり成果での評価」、「残業減少のための研修」、「仕事の進め方の見直し」など、残業の根本原因へとアプローチしていくための「組織開発的」な残業対策だった。

同じ残業対策でも、こうしたアプローチが女性のモチベーションを向上させており、推進されるべき本質的な働き方改革だ。

また、そもそもの管理職の役割を改めて見直すべき企業も多い。

「なんでもかんでも管理職任せ」の発想は、人事や経営と話していても頻繁に感じられるものだが、その発想こそが管理職を疲弊させ、とりわけ女性にとって魅力的でないものにし続けている。

かつて、組織のミドル(中間層)がトップダウンとボトムアップを両立させていくという役割の重要性を提起したものに、野中郁次郎らが90年代に提唱した「ミドル・アップ・ダウン」というコンセプトがあった。

しかし、時は流れ、もはやその役割を中間管理職に負わせるのが難しい企業のほうが多そうだ。少なくとも、これ以上の役割を期待することはやめてくれ、という「悲鳴」にも似た管理職の声は多く筆者にも届いている。

ダイバーシティにも対応し、部下のキャリアについてもきめ細やかに相談をし、ハラスメントを防ぎながら働き方改革を実行し、さらにイノベーションまで実践できるのは、「超人的」人材のみだろう。

自社の管理職層について、役割の棚卸しや整理、現状のヒアリングなどでその負荷を可視化することがまず必要だ。そのうえで、管理職のサポート的な役割を増やすなど、「人員削減」に寄りすぎている現状を、適切な人員配置と権限委譲に見直しを進めたい。

例えば、ベテランを活用したメンタリングや他部署の応援などもひとつの手段になるだろうし、サブリーダーや主任といった役職を設けたりすることで女性に管理職のリハーサル的機会を与えることもできるだろう。

出典・パーソル総合研究所
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202302240001.html

構成/清水眞希

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