人的資本可視化スコアを活用した「人的資本可視化支援サービス」を提供するアスタミューゼから、化学業界における生産性スコアランキングが発表された。
同社では、企業価値向上につながる人的資本可視化を実現するため、投資家が評価する上で重要な「企業価値との関係性」と「比較可能性」に注目した「人的資本可視化スコア」を開発。同スコアは複数の切り口で算出されているが、今回は生産性スコアについて、化学業界各社(時価総額1兆円以上)をランキングしたものだ。
1位は「創造性と生産性の向上」を明文化している三菱ケミカルグループ
1位となった三菱ケミカルグループは、「労働生産性と労働分配率のバランス」と「人的資本ROI」の両パラメータにおいて高い評価を獲得している。
実際に同社の統合報告書を参照しても、価値創造モデルで「創造性と生産性の向上」をアウトカムとして明文化しており、従業員の個性や能力を最大限活かす環境づくりに取り組んでいることが記載されている。
信越化学工業はグラフに示した企業群の中で「人的資本ROI」が最も高く、高評価となった。具体的な取り組みとして、同社はサステナビリティ上の重要課題の1つに「人間尊重、人材育成、多様性の推進」を掲げ、能力成果主義による人事考課制度を導入。
高い目標に向かって挑戦することを評価して、その成果と姿勢を処遇に反映することで、従業員の意欲向上につなげることが明記されており、こうした観点からも従業員の生産性への意識が高くなっているものと推定できる。
人的資本可視化スコアについて
企業を取り巻く環境の不確実性が高まる中で、企業の競争優位性や企業価値向上の源泉は、有形資産から無形資産にシフトしている。
このような中、企業価値における無形資産/非財務資本の評価に対する投資家からの注目が高まり、「人的資本」投資の巧拙が中長期的な企業価値に重要な影響を与えるという考えが浸透してきた。
そこで同社では、企業価値向上につながる人的資本可視化を実現するため、投資家が評価する上で重要な「企業価値との関係性」と「比較可能性」に注目した「人的資本可視化スコア」を開発したという。
「人的資本可視化指針」や「ISO30414」等のフレームワークをふまえた最低限の開示指標をベースとして、恣意性を排除した客観的なデータを基に企業価値創造に深く関係する指標を統合。他社や業界平均との比較が可能な投資家視点のスコアリング設計としていると、同社では説明している。
※当記事は特定銘柄の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。
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構成/清水眞希