遺産分割は原則としてやり直せませんが、例外的にやり直せる場合もあります。ただし遺産分割をやり直す際には、税金に関する取り扱いなどに注意が必要です。
今回は遺産分割のやり直しについて、要件・方法・注意点などをまとめました。
1. 遺産分割をやり直せる場合とは
遺産分割の方法を相続人間で合意した場合、原則として遺産分割のやり直しを求めることはできません。
ただし、以下の場合には例外的に、遺産分割のやり直しが認められます。
(1)相続人全員がやり直しに合意した場合
→相続人の自由意思を尊重し、遺産分割のやり直しが認められます。
(2)遺産分割に参加していない相続人がいた場合
→遺産分割には、相続人全員の参加が必須です。1人でも欠けていると無効になり、遺産分割をやり直すことになります。
(3)遺産分割に参加した相続人に意思能力がなかった場合
→自分の行為の結果を判断する能力(=意思能力)がない状態では、遺産分割について同意を与えることができません(民法3条の2)。
この場合、意思能力のない相続人について成年後見人が選任された後、成年後見人を代理参加させて遺産分割をやり直します。
(4)遺産分割について重要な認識違い(錯誤)があった場合
→錯誤に基づき、遺産分割についての同意を取り消すことができます(民法95条)。
動機についての認識違い(錯誤)があった場合にも取り消せる可能性がありますが、他の相続人に対して動機を表示していたことが必要です。
(5)騙されて、または脅されて遺産分割に同意した場合
→詐欺・強迫に基づき、遺産分割についての同意を取り消すことができます(民法96条)。
2. 遺産分割のやり直しを求める方法
遺産分割のやり直しを求める場合、まずは他の相続人と直接連絡をとって協議するのが一般的です。遺産分割が無効・取り消しとなる事情を示した上で、遺産分割のやり直しに応じるよう説得しましょう。
他の相続人が遺産分割のやり直しに応じない場合は、裁判所に遺産分割無効確認訴訟を提起します。
法廷で無効原因または取消原因を主張・立証し、裁判所に認められれば遺産分割の無効を確認する判決が言い渡されます。判決の確定後、改めて協議・調停・審判を通じて遺産分割を行いましょう。
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