岩谷技研は、誰もが宇宙を体験できる「宇宙の民主化」を実現する共創プロジェクト「OPEN UNIVERSE PROJECT」を始動すると発表した。
岩谷技研は、2016年の設立以来、「風船宇宙プロジェクト」「風船宇宙 生物プロジェクト」など気球を使った宇宙開発に挑戦してきた。
2020年の夏からは “気球による宇宙遊覧” を新たな目標に定め、資金調達を実施。以来、札幌を拠点に高高度気球と気密キャビンの設計・開発、並びに各種の実証実験を重ねており、早ければ2023年度中にも気球による宇宙遊覧の商業運行を開始する計画だという。
↑北海道幕別町での有人飛行試験(2022年11月)
今回、発表した「OPEN UNIVERSE PROJECT」とは、気球によって“誰もがいける宇宙遊覧”を実現する岩谷技研のテクノロジーを軸に、様々な業種のパートナーとの共創によって日本から宇宙産業を開拓し、宇宙をすべての人にひらかれたものにしていく「宇宙の民主化」プロジェクト。
人類が初めて宇宙を飛んでから60年あまり。これまで宇宙は常に限られた、選ばれた人が行く場所だった。ここ数年、宇宙へ行く新しい手段がいくつも登場してきたが、依然として価格や身体的負荷など越えられない壁が立ち塞がっているのが現状だ。
岩谷技研は、ロケットのように燃料を使うのではなく、空気よりも軽いガスの浮力で人や物を宇宙遊覧が可能な高度まで運ぶ、安全で低コストな手法を開発。この手法によって搭乗者の運搬に限らず、これまで以上に多業種の企業に宇宙が開かれることが期待できる。
同社では、「安心・安全・低価格な誰もがいける民間向けの宇宙遊覧を起点に、様々な企業・団体と新しい事業・サービス・活動を共創していき、これまで限られた人たちだけの活躍の場であった宇宙をすべての人が参加可能なものにすること。あらゆる層の人が、あらゆる業種の企業が、それぞれの方法で宇宙と関われるようになる世界を、岩谷技研が拓く」とアピールしている。
↑発表会にて初公開された2人乗り気密キャビン T-10 EARTHER(2023年2月)
また、「OPEN UNIVERSE PROJECT」始動に伴い、岩谷技研では、宇宙遊覧体験搭乗者、パイロット候補生に加え、日本から宇宙産業を共創するプロジェクトパートナーの募集を開始している。
宇宙遊覧体験搭乗者は、「OPEN UNIVERSE PROJECT宇宙遊覧体験 ご搭乗者募集サイト」にて受け付けている。応募した人のなかから、5名の搭乗者を選出し、宇宙遊覧フライトを含む宇宙遊覧体験を販売する。応募条件、募集要項など詳しい情報は上記サイトにて確認できる。
パイロット候補生は若干名を募集している。候補生は正社員として雇い入れ、パイロットの訓練を受けながら、開発を主体としたその他業務にも携わってもらうという。雇用条件などは「社員パイロット募集ページ」に記載されている。
共創企業については、宇宙空間で快適に過ごす衣料を作る企業、宇宙港や発射場・宇宙リゾートを一緒に開発する企業、宇宙産業のための人材育成を担う企業、宇宙遊覧体験をより快適にする食事や飲料、アメニティを開発する企業などを想定しているとのこと。こちらの詳細については、「OPEN UNIVERSE PROJECT 公式サイト」にて確認できる。
関連情報
https://open-universe-project.jp/
構成/立原尚子