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経口抗ウイルス薬「パクスロビド」はオミクロン株亜系統のBA.4とBA.5にも有効、コロラド大学研究報告

2023.02.28

パクスロビドは最近のオミクロン株にも有効

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬の一つである経口抗ウイルス薬のパクスロビド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル、日本での商品名パキロビッドパック)は、オミクロン株亜系統のBA.4とBA.5にも有効であることが、米コロラド大学(UC)医学部救急医学教授のAdit Ginde氏らによるリアルワールド(実臨床)データを解析した研究で示された。研究結果は、「Lancet Infectious Diseases」に2023年2月10日掲載された。

この研究では、COVID-19の重症化リスクや死亡リスクに対するパクスロビドの効果について検討された。研究グループによると、新型コロナウイルスが進化する一方で、高リスク患者への治療選択肢が限られてきていることが、この研究に着手した理由であるという。

Ginde氏は、「COVID-19に罹患した高リスク患者に対して有効性の高い治療選択肢を確保しておくことに、われわれは苦労を強いられている。特に、この1年半にわたって活用し、頼りにしてきたモノクローナル抗体が、ウイルスの変化により、オミクロン株の亜系統に対しては効果を発揮しなくなったことは大きい」と言う。

Ginde氏らは、UCヘルスシステムのデータから、米コロラド州でオミクロン株(BA.2、BA2.12.1、BA.4、BA.5)が支配的だった2022年3月26日から8月25日の間に新型コロナウイルスに感染した患者、またはパクスロビドを処方された患者のデータを収集。

総計2万8,167人の罹患者のうち、2万1,493人を解析に組み入れた。この中でパクスロビドが投与されたのは9,881人で(パクスロビド投与群)、残る1万1,612人(非パクスロビド投与群)には同薬が投与されていなかった。

主要評価項目は、新型コロナウイルス検査で陽性の判定を受けてから28日以内のあらゆる原因による入院とした。

解析の結果、28日以内に入院した患者の割合は、パクスロビド投与群で0.9%(61/7,168人)、非パクスロビド投与群で1.4%(135/9,361人)であり、パクスロビドによる治療は入院率の有意な低下と関連することが明らかになった(調整オッズ比0.45、P<0.0001)。

また、28日以内の全死亡率についてもパクスロビド投与群の方が低く〔0.1%未満(2/7,168人)対0.2%(15/9,361人)〕、同薬による治療が死亡率の有意な低下と関連することも示された(調整オッズ比0.15、P=0.0010)。

同薬の入院予防効果は、ワクチン接種済みの患者群を含む、パクスロビドの使用対象となり得る外来患者のほぼ全ての重要なサブグループで認められた。

このほか、パクスロビドが治療後の救急外来受診率の低下と関連することも確認され、このことから、同薬によって症状の再燃も抑制できる可能性が示された。

論文の筆頭著者で、米コロラド大学医学部准教授のNeil Aggarwal氏は、「この研究は、オミクロン株の亜系統に感染した患者の入院や死亡を減らす上で、パクスロビドが有用であることを初めて強く示した研究の一つだ」と結論付けている。

また、「外来で治療に当たる医師として、患者がワクチン接種済みか否かにかかわらず、現在のオミクロン株の流行期にCOVID-19に感染した急性期の成人患者に対するファーストライン治療として、パクスロビドを安心して使用できそうだ」と話している。

Ginde氏は、「われわれは、頑健性のあるシステマティックなデータに基づいた意思決定の助けとなるよう、ほぼリアルタイムのデータを臨床医らに提供している。もし、何らかの治療のベネフィットを確認することができれば、処方する医師と治療を受ける患者の双方が安心できる。その一方で、もし何らかの治療薬の有効性が低下してきているのであれば、それを把握し、治療方法を変更する必要がある」と説明している。

ただし、リアルワールドデータのプラットフォームの構築には、多角的な協働と時間が必要だ。

「このような機能の構築には時間がかかる。しかし、その基礎構造が整えば、COVID-19や他の疾患にもそれを使用できる」とGinde氏は説明。

また、「米食品医薬品局(FDA)も規制に関する意思決定でリアルワールドのエビデンスを利用できるようにするためのガイダンスを公開している」と述べている。

研究グループは、今回報告した研究以外にも、オミクロン株の亜系統に対するレムデシビルの有効性や、XBB.1.5、BQ.1といった、より最近のオミクロン株の亜系統に対するパクスロビドの有効性に関するリアルワールドデータを用いた研究の報告も予定している。

Ginde氏は、「実験データでは、これらのオミクロン株の亜系統についても、パクスロビドによるウイルスの中和効果が示されている。われわれは今後の解析で、同薬の臨床的な有効性を評価する予定だ」と話している。(HealthDay News 2023年2月13日)

Copyright © 2023 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(23)00011-7/fulltext

Press Release
https://www.cidrap.umn.edu/covid-19/paxlovid-may-help-prevent-hospitalization-death-covid-outpatients

構成/DIME編集部

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